IT導入補助金の必要書類と申請方法を徹底解説!採択率を上げるコツは?

本コラムでは、IT導入補助金の必要書類や申請手順を詳しく説明し、採択率を上げるための具体的なコツを紹介します! 申請前に必要書類を確認しておけば、スムーズな申請が叶います。 2025年度、IT導入補助金への申請をお考えの方はぜひお役立てください。
梅沢 博香

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IT導入補助金の必要書類と申請方法を徹底解説!採択率を上げるコツは?

この記事を監修した専門家

監修専門家: 井上卓也行政書士

井上 卓也

代表・行政書士

補助金・助成金を専門とする行政書士として、補助金申請サポート実績300社以上を有する。

慶應義塾大学卒業後、大手製薬会社での経験を積んだ後、栃木県・兵庫県に行政書士事務所を開業。 『事業再構築補助金』、『ものづくり補助金』、『IT導入補助金』をはじめ、地方自治体を含む幅広いジャンルの補助金に精通。 リモートを中心に全国の事業者の補助金申請サポートを行っている。

IT導入補助金の概要

「IT導入補助金」は、中小企業・小規模事業者等の労働生産性の向上を目的として、業務効率化やDX等に向けた ITツール(ソフトウェア、サービス等)の導入を支援する補助金です。

IT導入補助金の概要の説明
バックオフィス業務の効率化を図るシステムや、PC等のハードウェアが対象となります。
補助対象となるITツールは「ITツール登録サイト」に掲載されたもののみです。

「IT導入補助金」の概要をチェックする!

「IT導入補助金」の目的

「IT導入補助金」の目的は、中小企業や小規模事業者の業務効率化やDX推進を目的に、ITツールの導入を支援することです。
たとえば、業務の効率に役立つソフトウェアやハードウェア、セキュリティ対策ソフトの導入に活用できます。
「IT導入補助金」には、5つの枠(または類型)があり、それぞれ目的や補助対象となるツールが異なります。
※本コラムでは複数社連携IT導入枠の解説は割愛します。

枠・類型目的
通常枠自社の課題にあったITツールを導入し、
業務効率化・売上アップをサポート
インボイス枠(電子取引類型)インボイス制度に対応した受発注システムを商流単位で導入する企業をサポート
インボイス枠(インボイス対応類型)インボイス制度対応の会計ソフトや受発注ソフト、決済ソフト、PCなどを導入し、労働生産性向上をサポート。
セキュリティ対策推進枠サイバー攻撃の増加に対応し、サイバーインシデントのリスクを減らす対策をサポート。

補助率/補助額

IT導入補助金の補助率・補助額は、枠または類型によって異なります。
最大補助額は450万円、最大補助率は4/5以内です。

IT導入補助金は、導入するツールのプロセス数や企業規模よって補助額・補助額が異なります。
インボイス枠(インボイス対応類型)では個人事業主を含む小規模事業者の補助率が優遇されますので、ぜひご活用をご検討ください。
IT導入補助金通常枠出典:「IT導入補助金」

プロセス数とは?

プロセスとはソフトウェアの持つ「機能」のことです。

たとえば、通常枠には「顧客対応・販売支援」「決済・債権債務・資金回収管理」など7つのプロセスがあります。
1プロセス以上の補助額は5万円以上150万円未満、4プロセス以上の補助額は150万円以上450万円以下と、プロセス数によって補助額が変わります。

1プロセス以上のソフトウェアを導入する場合の例

以下1つのソフトウェアを導入する場合、1プロセスのソフトウェアを導入したことになります。

導入するソフトウェアプロセスの種類プロセス数
クラウド会計ソフトfreeeなど「会計や財務、経営」1つ
合計:1つ合計:1つ

4プロセス以上のソフトウェアを導入する場合の例

以下3つのソフトウェアを導入する場合、全部で4プロセスのソフトウェアを導入したことになります。

導入するソフトウェアプロセスの種類プロセス数
Zoomなど「汎用ツール」1つ
原価管理システムREVIEW-Ⅲなど「顧客対応や販売支援」と「業務固有のシステム」2つ
クラウド会計ソフトfreeeなど「会計や財務、経営」1つ
合計:3つ合計:4つ

導入するソフトウェアがどのプロセスに該当するか分からないという方は、公式サイトの「ITツール検索」でツール名を検索してみましょう。
ツールを取り扱っている業者のページで該当するプロセスの種類を確認できます。
IT導入補助金ツール検索出典:「IT導入補助金」

通常枠の補助率/補助額

事業のデジタル化を目的としたソフトウェアやシステムが対象です。

補助率補助額
1/2以内1プロセス以上5万円以上150万円未満
4プロセス以上150万円以上450万円以下

インボイス枠(電子取引類型)の補助率/補助額

インボイス制度に対応した会計・受発注・決済ソフトとPCなどのハードウェアが対象です。
ソフトウェアとハードウェアで補助率・補助額が異なります。
【インボイス制度に対応した会計・受発注・決済ソフト】

補助率補助額
3/4以内、4/5以内※50万円以下
2/3以内50万円超〜350万円以下

※中小企業は3/4、個人事業主などの小規模事業者は4/5
【PC・ハードウェア等】

補助対象補助率補助額
PC・タブレット等1/2以内10万円以下
レジ・券売機等20万円以下

インボイス枠(インボイス対応類型)の補助率/補助額

インボイス制度に対応した受発注システムが対象です。
個人事業主の場合は「中小企業・小規模事業者等」に該当します。

事業者補助率補助額
中小企業・小規模事業者等2/3 以内 (下限なし)~350万円以下
中小企業・小規模事業者と受発注の取引を行っている事業者(大企業含む)1/2 以内

セキュリティ対策推進枠の補助率/補助額

サイバー攻撃などのリスクから事業を守るために導入する、ITツールやサービスが対象です。

補助率補助額
1/2以内5万円以上100万円以下

参考:「IT導入補助金」

IT導入補助金を活用できる事業者の条件

IT導入補助金を活用できる事業者の条件は、業種・組織形態によって異なります。

中小企業
業種・組織形態資本金常時使用する従業員
製造業、建設業、運輸業3億円300人
卸売業1億円100人
サービス業(ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く)5,000万円100人
小売業5,000万円50人
ゴム製品製造業3億円900人
ソフトウェア業又は情報処理サービス業3億円300人
旅館業5,000万円200人
その他の業種(上記以外)3億円300人
小規模事業者
業種・組織形態常時使用する従業員
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く)5人以下
サービス業のうち宿泊業・娯楽業20人以下
製造業その他20人以下

参考:「IT導入補助金 通常枠」公募要領

IT導入補助金の補助対象となるITツール

IT導入補助金は枠によって補助対象となるITツールが異なります。

通常枠

通常枠は、事業のデジタル化を目的としたソフトウェアやシステムの導入を支援するもので、他の枠よりも導入できるソフトウェアの種類が豊富です。
以下のソフトウェアが補助対象になります。

  • 顧客対応販売支援
  • 供給、在庫、物流
  • 会計、財務、経営
  • 総務、人事、給与、労務 など

インボイス枠(電子取引類型)

インボイス枠(電子取引類型)は、インボイス制度に対応した受発注システムを商流単位で導入する企業を支援するもので、受発注ソフトが補助対象になります。

インボイス枠(インボイス対応類型)

インボイス枠(インボイス対応類型)は、インボイス制度に対応した会計ソフト、受発注ソフト、決済ソフト、PC・ハードウェア等を導入し労働生産性の向上をサポートするものです。
以下のソフトウェアとハードウェアが補助対象になります。

ソフトウェアハードウェア
会計、受発注、決済PC、タブレット、プリンター、レジ、券売機
「IT導入補助金2024」でパソコン購入する方法は?

セキュリティ対策推進枠

IPAが公表する「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載され、事前に事務局に登録されたIT導入支援事業者が提供するサービスが対象です。
サイバーセキュリティお助け隊サービス

IT導入補助金の必要書類

IT導入補助金の必要書類は法人と個人事業主で異なります。
書類の発行日や税目、納税年度などのミスを避けるよう注意しましょう!

法人

履歴事項全部証明書

  • 法務局発行の会社情報を証明する書類
  • 発行日がIT導入補助金の登録申請日から3ヶ月以内であることが必要

法人税の納税証明書(その1またはその2)

  • 直近分の納税証明書が必要
  • 税務署で発行され、税目は法人税であることが必須

個人事業主

身分証明書

  • 運転免許証、運転経歴証明書、または住民票
  • 住民票は発行日がIT導入補助金の登録申請日から3ヶ月以内であること

所得税の納税証明書(その1またはその2)

  • 税務署発行の直近分が必要
  • 税目が所得税であることが必須

直近分の確定申告書の控え

  • 前年分の確定申告書で、税務署の受領確認が必要

必要書類を提出する際のポイント

ポイント1:本人確認書類

有効期限内の運転免許証か運転経歴証明書、発行から3ヶ月以内の住民票が本人確認書類として認められています。
原則としてマイナンバーや保険者番号などの個人情報が記載されていないものを提出してください。記載されている場合は、黒塗りなどで判別できないようにしてください。

ポイント2:直近の納税証明書

「その1とその2」では証明する内容が異なりますが、どちらでも結構です。
納税した領収書では認められない点にご注意ください。

「IT導入補助金」に必要な納税証明書の種類は?

ポイント3:直近の確定申告書の控え

令和7年(2025年)に申請する場合、原則として令和6年(2024年)分の確定申告書が必要です。
ただし、やむを得ない事情がある場合には、令和5年(2023年)分の提出も認められます。
確定申告書は税務署が受領したことが確認できるものに限ります。以下1~3のいずれかで受領を確認します。

  1. 確定申告書に収受日付印が押印されている
  2. 受付番号と受付日時が印字されている
  3. 受信通知(メール詳細)を添付する

税理士の印だけが押された書類は無効です。1~3で受領確認ができない場合、「確定申告書」と「納税証明書その2」を一緒に提出してください。

IT導入補助金の申請の流れ

IT導入補助金の申請手順は以下のとおりです。

  1. IT導入支援事業者の選定
  2. gBizIDプライムアカウントとSECURITY ACTION宣言
  3. 経営課題の把握
  4. 導入するITツールの選定と申請準備
  5. 交付申請の作成・提出
  6. 交付決定後の手続き
  7. 事業実績報告の提出
  8. 補助金交付と効果報告

1.IT導入支援事業者の選定

ITツール導入をサポートするIT導入支援事業者を選定します。
IT導入支援事業者を検索する!

2.gBizIDプライムアカウントとSECURITY ACTION宣言

gBizIDプライムアカウントを取得し、SECURITY ACTION宣言を実施します。
gBizIDプライムアカウントは、複数の行政サービスをひとつのアカウントで管理が行えるシステムです。
「SECURITY ACTION」は中小企業自らが、情報セキュリティ対策に取組むことを自己宣言する制度です。

オンライン取得でgBizIDの即時発行できる!

gBizID
SECURITY ACTION宣言

3.経営課題の把握

みらデジ経営チェックを行い、経営課題を明確にします。
みらデジ経営チェックは、中小企業庁が実施する中小企業・小規模事業者等の経営課題をデジタル化により解決することをサポートする制度です。
みらデジ経営チェック

4.導入するITツールの選定と申請準備

IT導入支援事業者と共に導入するITツールを選定し、交付申請の事業計画を策定します。

5.交付申請の作成・提出

申請マイページから必要情報を入力し、ITツール導入に関する書類を添付して提出します。

6.交付決定後の手続き

交付決定を受けた後にITツールを発注、契約、支払いを行います。
交付決定前に発注・契約・支払い等を行った場合は、補助金の交付を受けられないのでご注意ください。

7.事業実績報告の提出

ITツール導入後、契約・納品・支払いの証憑を含めた事業実績報告を提出します。

8.補助金交付と効果報告

事業実績報告が完了し、補助金が交付されます。
その後、効果報告を行い、事業の成果を確認します。

「IT導入補助金」入金までどれくらいかかる?

参考:「IT導入補助金」の申請フロー

IT導入補助金を申請する際のポイント

個人事業主が「IT導入補助金」を活用する際のポイントは以下5点です。

  1. ECサイト作成は補助対象外
  2. ホームページ作成は補助対象外
  3. ハードウェアのみの導入は補助対象外
  4. 交付決定日から受給まで4〜8ヶ月程度かかる
  5. 開業して1年未満の個人事業主は申請できない

1.ECサイト作成は補助対象外

2024年度のIT導入補助金では、ECサイト制作やEC機能の追加も補助の対象外です。

ECサイト作成が補助対象の補助金は?

2.ホームページ作成は補助対象外

ホームページ制作のみでは労働生産性の向上やインボイス制度対応、企業のDX化に直接結びつかないため、「IT導入補助金」を活用して新規にホームページを作成する事業内容は、補助の対象にはなりません。

3.ハードウェアのみの導入は補助対象外

「IT導入補助金」のインボイス枠インボイス対応類型は、PC等のハードウェアも補助対象になりますが、ハードウェア単体の補助はできません。
必ずハードウェア+ソフトウェアの導入が必要です。

4.交付決定日から受給まで4〜8ヶ月程度かかる

交付決定後4〜8ヶ月程度で補助金が入金されます。
申請後すぐに受給できるわけではない点にご注意ください。
また、受給後も事業実績効果報告の提出が必要になります。

5.開業して1年未満の個人事業主は申請できない

「IT導入補助金」の必要書類に確定申告書がありますが、前年度に納税や確定申告をしていない場合には、書類の発行ができないため、補助を受けられません。
個人事業主として開業して1年以上経過していない場合は、交付申請ができないため、翌年度以降の申請を検討しましょう。
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IT導入補助金の採択率を上げるコツは?

1. 審査項目に合致した申請内容を作成する

IT導入補助金の申請は、審査基準に基づいて評価されます。
審査項目とは、申請が採択されるかどうかを決定するための評価基準のことです。
具体的には、「事業計画が実現可能であるか」「IT導入によって生産性や業務効率が向上するか」といったポイントがチェックされます。
これに合致した申請内容を作成することが重要です。事業の目標や効果を明確にし、具体的なデータや事例を用いて補助金のメリットを証明できるような資料を用意しましょう。

2. IT導入補助金の加点項目と減点項目に注意する

加点項目と減点項目は、申請の評価に影響するポイントです。
加点項目とは申請内容にプラス評価がつく要素を指し、減点項目はマイナス評価につながる要素です。
以下IT導入補助金2024の通常枠の加点項目と減点項目の一例です。

加点項目減点項目

例:導入するITツールとしてクラウド製品を選定している


例:IT導入補助金2022と2023において、デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)で交付決定を受けた事業者

加点項目を積極的に盛り込み、減点要因を避けることで、採択される可能性が高まります。
参考:IT導入補助金通常枠の公募要領

3.正しい必要書類を提出するために早めの準備をする

提出期限内に正確な書類を提出しないと、採択されない可能性があります。履歴事項全部証明書や納税証明書など、発行に時間がかかる書類も含まれているため、余裕をもって準備を始めましょう。
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IT導入補助金と他の補助金・助成金と併用できる?

IT導入補助金は、国と中小機構の他の助成金・補助金との併用はできませんが、補助対象となる事業内容(サービス・ソフトウェア、経費等)が重複しない場合は申請が可能です。

申請不可

補助金名申請内容
IT導入補助金業務効率化のため、POSレジを導入する
小規模事業者持続化補助金

申請可能

補助金名申請内容
IT導入補助金業務効率化のため、POSレジを導入する
小規模事業者持続化補助金店舗集客を目的に、販促用のチラシや広告を制作する

IT導入補助金2025の最新情報!

IT導入補助金2024はすべての枠で公募が終了しました。(2024年11月21日現在)
IT導入補助金2025のスケジュールは未公開ですが、2024年度を参考にすると以下のように推測できます。

  • 「IT導入補助金2025」の初回公募は、2025年2月~3月に開始される可能性が高い
  • 年数回の公募が行われる。公募回数は申請枠によってことなるが、通常7回前後、多い枠で12回前後となる可能性がある


一足先にIT導入補助金2025に関する情報をチェックしたい方は、以下のコラムをご覧ください。

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