【2024年最新】日本政策金融公庫の融資まる分かりガイド
日本政策金融公庫の融資制度について詳しく知りたいあなたに向けて、審査のポイントや必要な書類、最新の融資情報まで完全網羅しています。農林漁業や食品産業を営む事業者や中小企業経営者、起業家は必見です!
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この記事を監修した専門家
補助金・助成金を専門とする行政書士として、補助金申請サポート実績300社以上を有する。
慶應義塾大学卒業後、大手製薬会社での経験を積んだ後、栃木県・兵庫県に行政書士事務所を開業。 『事業再構築補助金』、『ものづくり補助金』、『IT導入補助金』をはじめ、地方自治体を含む幅広いジャンルの補助金に精通。 リモートを中心に全国の事業者の補助金申請サポートを行っている。
日本政策金融公庫ってなに?
日本政策金融公庫(Japan Finance Corporation、 JFC)は、主に中小企業、農林水産業、個人などを対象にした融資機関で、政府が100%出資する特殊法人です。
日本政策金融公庫の役割は、商業銀行が積極的に融資を行わない中小企業や農林水産業、個人向けの融資を提供することです。
具体的には新規事業の立ち上げや農業の改善、教育資金の支援など、多岐にわたり対応しています。
日本政策金融公庫は、地域経済の発展や中小企業の支援、農林水産業の振興などの支援を目的とし、日本経済の成長に寄与することが目的です。
このため、融資条件も商業銀行に比べて比較的緩やかで、長期を見据えた支援を行っています。
参考:日本政策金融公庫
日本政策金融公庫の融資制度の種類と特徴
日本政策金融公庫の融資制度について、3つの種類と特徴についてまとめました。
個人融資
融資制度の1つ目は個人融資です。個人の融資制度は、主に教育ローンや生活支援融資が利用されています。
教育ローンは、子供の進学に必要な教育費用を賄うための融資です。金利が低く返済期間も長めに設定されており、多くの家庭が利用しています。
また、生活支援融資は生活困窮者や収入が不安定な個人を支援するための融資です。失業や病気など、不測の事態に対応するための緊急融資も含まれます。
企業融資
2つ目は企業融資です。企業融資には、大きく新規開業資金、設備資金、事業資金があります。
新規開業資金では、事業を新たに始める際に必要な資金を提供します。事業計画がしっかりしていれば、自己資金が少なくても融資を受けやすいです。
設備資金においては、新しい設備の導入や既存設備の更新に必要な資金を提供しています。製造業やサービス業を中心に、多くの中小企業が利用しています。
最後に事業資金ですが、既存の中小企業が運転資金や事業拡大のために利用できる融資です。
特に、地域経済や特定産業の発展に寄与する事業には優遇条件が設けられています。
農林水産業に関する融資
3つ目は農林水産業に関する融資です。農林水産業は、日本の食料供給の基盤を支える重要な産業であることから、これらの業種に特化した融資を提供しています。
農林水産業向けの融資では、農業改良資金と漁業改良資金、農林漁業改善資金があります。
農業改良資金とは、農業の生産性を向上させるための設備投資や技術導入に必要な資金を支援します。
農家が長期的な視点で経営改善を図る際に利用されることが多いです。
漁業改良資金とは、漁業の生産力を向上させるための資金を提供します。具体的には、漁船の更新や漁具の導入に利用されます。
そして農林漁業改善資金では、農林漁業における総合的な経営改善を目指すための融資を行なっています。
環境保全や環境に配慮した農業、漁業活動を支援するための融資が特徴です。
日本政策金融公庫の融資がピッタリの事業者
日本政策金融公庫の融資を受けた方が良い事業者について解説します。
- 新たに事業を始める方
- 創業に再チャレンジする方
- 女性、若者、シニアの方で創業する方
新たに事業を始める方
日本政策金融公庫は、新たに事業を始める方にとって非常に頼りになる存在です。
その理由は、創業直後であっても積極的に融資を行ってくれる点にあります。
一般的な民間金融機関では、事業実績がない場合、融資の審査が厳しくなることがあります。
しかし、日本政策金融公庫は創業支援を目的としているため、事業開始直後や準備段階でも申請が可能です。
具体例として、飲食店の開業を考えている場合、店舗の設備資金や運転資金を一括で融資してもらえるケースがあります。
これにより、事業をスムーズにスタートさせることができるため、資金面でのリスクを軽減できます。
また、政策的な目的により金利が低めに設定されていることも利点です。
新たに事業を始める際には、資金調達が成功の鍵となります。
そのため、日本政策金融公庫の創業支援を活用することで、安心して事業をスタートさせる環境を整えられます。
参考:日本政策金融公庫(新規開業資金)
創業に再チャレンジする方
一度事業に失敗した経験がある方でも、日本政策金融公庫の融資制度は大きな助けになります。
日本政策金融公庫では、再チャレンジ支援を積極的に行っており、過去の失敗を前向きに捉える姿勢を評価します。
この特徴は、失敗を糧に新たな挑戦をしたいと考える事業者にとって非常に重要です。
たとえば、以前経営していた小売業で経営難に陥り閉店したものの、その経験をもとにオンライン販売事業に再挑戦する場合、事業計画をしっかり練り直すことで融資を受けられる可能性があります。
また、過去の失敗から得た教訓や改善点を事業計画書に盛り込むことが、融資審査を有利に進めるポイントです。
創業に再チャレンジする方にとって、日本政策金融公庫は、過去の失敗を乗り越えるための強力なパートナーとなります。
参考:日本政策金融公庫(再挑戦支援関連)
女性、若者、シニアの方で創業する方
女性や若者、シニアといった属性の方が創業する場合、日本政策金融公庫の支援は特に手厚いものとなっています。
これらの方々が事業を始める際、独自の課題や制約に直面することが多いため、政策的な観点から支援を充実させているのが特徴です。
たとえば、女性が飲食店や美容関連の事業を始める場合、専用の融資制度を活用することで、比較的低い金利で資金調達が可能です。
若者がIT関連のスタートアップを立ち上げる際にも、事業計画が具体的であれば、資金調達がしやすくなる傾向があります。
また、シニア層がセカンドキャリアとして地域密着型のサービス業を始める場合も、年齢を理由に融資を諦める必要はありません。
このように、日本政策金融公庫は、多様な属性の方々が創業する際の課題をしっかりサポートし、それぞれの強みを活かした事業展開を支援しています。
参考:日本政策金融公庫(女性、若者/シニア起業家支援関連)
日本政策金融公庫から融資を受ける際の5つの注意点
日本政策金融公庫の融資を受ける際の5つの注意点をまとめました。
- 審査基準を考慮しない
- 返済における負担を想定しない
- 返済が難しくなっても相談しない
- 用途制限のある融資を把握しない
- 融資までのスケジュール管理をしない
審査基準を考慮しない
注意点の1つ目は、審査基準を考慮しないことです。
日本政策金融公庫の融資は、商業銀行よりも緩やかな審査基準が設けられていますが、事業計画や返済能力においては厳格な審査が行われます。
特に事業計画や収益性、返済能力が重視されるので、これを考慮せずに申請を行うと融資が受けられない可能性があるので注意しましょう。
返済における負担を想定しない
2つ目は返済における負担を想定しないことです。融資を受ける際には、綿密な返済計画が重要になります。
返済期間や金利を把握し、自分の事業や生活における返済負担がどの程度になるかを予測しておかないと、将来的な経済状況が悪化する原因になりかねません。
あらかじめどのくらいの資金が必要なのか、必要な資金の月々の返済額を見積もっておくと安心です。
返済が難しくなっても相談しない
3つ目は返済が難しくなっても相談しないことです。返済が難しくなった場合、早めに日本政策金融公庫に相談しましょう。
返済猶予や再構築などの選択肢が提供される場合もありますが、相談を怠ると、さらに状況が悪化する可能性があります。
事業の影響で返済が難しくなった場合や、「このままだと返済が厳しくなりそう」といった不安を感じたら、すぐに相談して適切な処置を取るようにしてください。
用途制限のある融資を把握しない
4つ目は用途制限のある融資を把握しないことです。
日本政策金融公庫の融資には、用途が厳格に定められているものがあります。例えば、設備資金は設備の購入や改修にしか使えまないなどです。
本来の用途とは違う使い方をすると違反になり、融資の取り消しや一括返済を求められる場合があります。
しっかりと確認して事業用途にあった融資を受けるようにしましょう。
融資までのスケジュール管理をしない
5つ目は融資までのスケジュールを把握しないことです。融資の申請から実際に資金が振り込まれるまでには、一定の時間がかかります。
このスケジュールを把握せずに資金計画を立てると、必要なタイミングで資金が手元にない状況に陥る可能性があります。
融資までにどのくらいの期間がかかるのか、事業の進行と照らし合わせて判断するのが大切です。
業種別の利用が多い融資
日本政策金融公庫の融資を受けるにあたり、業種別で利用が多い融資をご紹介します。
製造業向け
製造業においては、生産能力の拡大や新技術の開発が競争力の源泉なので、下記のような活動をサポートしています。
- 中小企業事業:製造業者が設備投資や運転資金の調達に利用することが多い融資制度です。主に機械の導入や工場の建設など、大規模な資金調達が必要な場合によく利用されます。
- 成長産業育成資金:新技術や新製品の開発を目指す製造業者向けの融資で、技術革新を促進するための資金調達によく利用されています。
サービス業向け
サービス業では、設備投資や人材育成が経営の鍵を握るため、長期的な成長を支援しています。
- 中小企業事業:主に事業の安定や成長を支援するための融資です。主に運転資金や設備資金の調達を目的として利用されています。
- 国民生活事業:個人事業主や小規模企業向けの融資となっており、飲食店や美容室、介護サービスなどの幅広いサービス業が対象です。創業資金や運転資金の調達時によく利用されます。
- 創業融資:創業融資は、新規事業の立ち上げを支援するための融資制度で、サービス業の起業時によく利用されています。
農業・漁業向け
農業や漁業に従事する人々には、持続可能な農業や漁業の実現を目指して提供されています。
- 農業経営改善支援資金:農業経営の改善や拡大を目指す農業者向けの融資制度で、運転資金や設備資金の調達によく利用されています。また、農機具の購入や施設の改善なども対象です。
- 漁業経営安定資金:漁業者向けの融資で、漁船の改修や漁具の購入、または漁業経営の安定を図るための資金調達に利用されます。
- 農業・漁業者経営改善資金:農業や漁業の新規参入や経営改善を目指す事業者向けの融資制度で、長期的な視点のもと、資金調達を支援しています。
日本政策金融公庫申請の必要書類一覧
日本政策金融公庫の融資を申請する際には、業種によって必要な書類が異なります。下記で必要な書類を業種別で表にまとめました。
業種 | 必要書類 |
全業種共通 | 借入申込書・事業計画書・財務諸表(決算書、曽根期計算書、貸借対照表) |
サービス業 | 設備投資計画書・雇用計画書 |
製造業 | 技術開発計画書・生産計画書・設備投資計画書・その他(製造設備の導入時等に追加の書類が必要) |
農業 | 営農計画書・土地利用計画書・収支計画書・その他(作物や栽培計画によって詳細な計画書が必要) |
漁業 | 漁業計画書・漁場利用計画書・収支計画書・その他(漁獲計画や設備計画等) |
この表を参考に、受けたい融資に必要な書類を前もって準備しておくと、融資の申請がスムーズになるので、よく確認しておきましょう。
参考:日本政策金融公庫(各種書式ダウンロード)
日本政策金融公庫の融資までの流れ
ここでは日本政策金融公庫の融資を受けるまでの流れを解説しています。
事前準備
まずは事前準備です。融資の目的や金額、返済計画を明確にし、必要書類を準備します。
事業計画書や収支計画書は、この段階でしっかりと作成しておきましょう。
書類提出
準備が整ったら、次に日本政策金融公庫の窓口やオンラインで申請書類を提出します。
この際、申請書に漏れや間違いがないよう十分に確認しましょう。
審査
提出された書類をもとに、日本政策金融公庫が審査を行います。審査では、事業の収益性や返済能力が重視されます。
また必要に応じて、追加書類の提出や面談が求められることもあるので、前もって準備しておくと安心です。
結果通知
審査が完了すると、結果が通知されます。融資が無事に承認された場合は契約手続きに進み、指定された口座に資金が振り込まれます。
参考:日本政策金融公庫(お手続の流れ)
融資の審査に通る4つのポイント
日本政策金融公庫の融資審査に通るためには、以下の4つのポイントが重要です。
- 申し込む前に相談する
- 自己資金や担保の準備をする
- 返済能力をアピールする
- 事業計画書に具体的な内容を記載する
申し込む前に相談する
ポイントの1つ目は、申し込む前に相談することです。
日本政策金融公庫の担当者に事前に相談することで、自分の事業がどのような融資制度に適しているかが分かり、審査の際に重視されるポイントを確認できます。
自己資金や担保の準備をする
2つ目は自己資金や担保の準備をしておくことです。自己資金や担保があることにより、返済能力をアピールしやすくなります。
自己資金は事業の信頼性を示せるので、審査において有利に働きます。
返済能力をアピールする
3つ目は返済能力をアピールすることです。具体的な収支計画や過去の実績を示せるかどうかで、返済出来る能力を持っているか判断され、融資の審査に影響します。
積極的に返済できる能力があることをアピールしましょう。
事業計画書に具体的な内容を記載する
4つ目は事業計画書に具体的な内容を記載することです。事業計画書には、目標や実行計画、収益予測を詳細に記載する必要があります。
曖昧な計画ではなく、具体性と実現可能性が求められるので、しっかりと記入しましょう。
2024年度日本政策金融公庫の変更点
2024年においてこれまでの融資制度に変更がありました。その詳細を下記の表でご覧ください。
| 従来の制度 | 2024年度の変更点 |
自己資金の要件 | 創業資金総額の1/10の自己資金があること | 従来の要件が撤廃 |
融資の限度額 | 3,000万円 | 7,200万円に引き上げ |
返済の期間 | 運転資金は原則7年以内 | 原則10年以内に変更 |
据置期間 | 設備資金、運転資金ともに2年以内 | 設備資金、運転資金ともに5年以内に変更 |
主な変更点として、返済期間の延長や限度額の引き上げ、そして自己資金要件の撤廃などが見られました。
ご自身でもよく確認した上で変更点をうまく活用し、融資を受けるようにしましょう。
2024年度の日本政策金融公庫最新情報
2024年度における日本政策金融公庫の最新情報では、事業者の多様なニーズに応えるための制度改善や新たな支援策の導入が注目されています。
特に、創業支援や地域産業の活性化を目的とした取り組みが強化されており、これまで以上に幅広い事業者が利用しやすくなっています。
2024年には、創業支援融資の条件が一部緩和され、これまで審査の基準となっていた事業計画書の要件がより柔軟になっています。
具体的には、事業開始前の準備段階における資金ニーズに対応するため、計画が未完成であっても融資を受けられる可能性が高まりました。
この変更は、特に初めての創業者や小規模事業者にとって大きなメリットとなります。
さらに、地域ごとの特性に応じた融資プログラムが新設された点も重要です。
地方創生や地域経済の発展を支援する目的で、特定の業種や地域に特化した融資枠が設けられました。
たとえば、観光産業や農林水産業を中心とした地域振興プログラムでは、地元資源を活用する事業者に対して優遇措置が適用されることが特徴です。
また、2024年度はデジタル化支援にも重点が置かれています。
IT導入やDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する中小企業向けに、関連機器やソフトウェアの導入費用を支援する特別融資枠が拡充されました。
これにより、中小企業の競争力向上が期待されます。
一方で、環境対策に関する支援も強化されており、脱炭素経済への移行を目指す企業に対して低金利での融資が可能となっています。
具体例として、再生可能エネルギーの導入や省エネ設備の設置を行う企業が対象です。
これらの施策は、持続可能な経済の実現を支援するための重要な取り組みと位置づけられています。
2024年度の日本政策金融公庫の変更点や新制度は、事業者にとって資金調達の選択肢を広げるだけでなく、経営の質を向上させるきっかけとなるでしょう。
事業者はこれらの最新情報を活用し、自身の事業に最適な支援策を見つけることが重要です。
【まとめ】日本政策金融公庫の融資を受けるポイントを抑えて賢く資金調達をしよう!
今回は日本政策金融公庫について、審査のポイントや業種別でよく利用されている融資について解説しました。
日本政策金融公庫の融資を賢く活用するためには、各融資制度の特徴を理解し、適切な準備を行うことが重要です。
審査基準や必要書類、融資の流れを事前に把握し、計画的に資金調達を行うことで、事業の成功にや発展に繋げることができるので、利用方法をしっかりと理解して融資を受けるようにしましょう。
資金調達が必要であれば補助金・助成金も上手く活用しましょう!
融資の他にも補助金・助成金を申請する選択肢があります、補助金や助成金は基本的に返済不要ですので、事業の資金調達が必要な方は、ぜひ補助金や助成金の活用もご検討ください!
以下のフォームからご相談できます!