つなぎ融資とは?住宅ローンを組む前にチェック!

つなぎ融資って聞いたことあるけどよく分からない…そんな方へ。住宅ローンが始まる前に必要なお金の流れや、メリット・デメリット、利用できる銀行の探し方までやさしく解説します。
梅沢 博香

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この記事を監修した専門家

監修専門家: 井上卓也行政書士

井上 卓也

代表・行政書士

補助金・助成金を専門とする行政書士として、補助金申請サポート実績300社以上を有する。

慶應義塾大学卒業後、大手製薬会社での経験を積んだ後、栃木県・兵庫県に行政書士事務所を開業。 『事業再構築補助金』、『ものづくり補助金』、『IT導入補助金』をはじめ、地方自治体を含む幅広いジャンルの補助金に精通。 リモートを中心に全国の事業者の補助金申請サポートを行っている。

つなぎ融資とは?意味をわかりやすく解説!

つなぎ融資とは、住宅ローンが実行される前に必要な資金を一時的に借りるための融資です。住宅ローンは建物が完成しないと融資が実行されないため、土地代や着工金を払うために資金が不足するケースがあります。その空白期間を補う仕組みがつなぎ融資です。

つなぎ融資はどこから借りる?

つなぎ融資は、主に住宅ローンを取り扱う銀行や金融機関から借ります。ただし、すべての銀行が取り扱っているわけではないため注意が必要です。

借入先の種類特徴と対応状況主な具体例
メガバンク/地方銀行多くがつなぎ融資に対応。金利・手数料は銀行により異なるりそな銀行、みずほ銀行、地方銀行各社
フラット35系(提携含む)フラット35自体にはつなぎ融資なし。ただしARUHIなど提携機関では提供ありARUHI(フラットつなぎ)など
ネット銀行多くは取り扱いなし。ただし「土地先行プラン」など限定対応あり住信SBIネット銀行(土地先行プラン)など

つなぎ融資を検討するとき、の選び方のポイントは次の3つです。

  1. 住宅ローンと同じ銀行でまとめられるかどうか:住宅ローンを借りる銀行がつなぎ融資に対応していれば、契約や手続きが一括で済み、管理が楽になります。
  2. 利用するローン商品に対応しているか:フラット35を利用する場合は、ARUHIや全宅住宅ローンなど「つなぎ融資付き商品」を扱う金融機関を選ぶ必要があります。
  3. 金利・手数料の負担を比較するつなぎ融資は短期間とはいえ金利や手数料がかかります。工期が長くなれば利息も増えるため、条件を比較して総額で負担が少ないところを選ぶことが大切です。

つなぎ融資を検討するときの注意点

つなぎ融資を検討する際は、金融機関ごとの条件や対応の可否を確認することが重要です。特に金利・手数料の差や、ネット銀行・フラット35での利用可否には注意が必要です。

金利・手数料は銀行ごとに異なる

つなぎ融資の金利や手数料は銀行ごとに大きく異なります。一般的に、つなぎ融資の金利は年2〜3%程度が目安とされますが、同じ金額を借りても金融機関によって負担が数万円以上変わることがあります。また、借入時には事務手数料や印紙代などの諸費用も必要です。そのため、住宅ローンと一緒に「つなぎ融資の条件」も確認し、総額でどのくらいの負担になるかを事前に把握しておくことが大切です。

ネット銀行やフラット35の利用可否

ネット銀行やフラット35では、つなぎ融資を利用できないケースがあるため注意が必要です。
ネット銀行:多くはつなぎ融資を取り扱っていません。例えば住信SBIネット銀行や楽天銀行などは基本的に非対応ですが、一部には「土地先行プラン」など限定的に対応する商品もあります。
フラット35:フラット35そのものにはつなぎ融資の仕組みがなく、利用する場合は別途金融機関でつなぎ融資を組む必要があります。ただし、ARUHIや全宅住宅ローンなどは独自に「フラット対応のつなぎ融資商品」を提供しています。
このため、ネット銀行やフラット35を選ぶ場合は「どこでつなぎ融資を手当てするのか」を事前に確認しておくことが不可欠です。

つなぎ融資と住宅ローンとの違いは?

つなぎ融資は住宅ローンと違い「完成前に発生する支払い」をカバーするために利用されます。
住宅ローンは建物が完成し、担保として設定できる段階でしか融資されません。しかし、土地代や工事代は工事途中で支払いが必要になります。そのため、住宅ローン実行前の支払いに備えるためにつなぎ融資が使われます。

項目住宅ローンつなぎ融資
融資のタイミング完成後に実行工事途中でも利用
目的住宅購入資金全般完成までの一時的な資金
返済方法数十年にわたり分割返済住宅ローン実行時に一括返済

つなぎ融資が必要になる具体的なケースは?

つなぎ融資は、住宅ローンが実行される前に支払いが必要になる場面で利用されます。特に注文住宅や建て替え、二世帯住宅の建築では、工事途中で多額の資金が必要になるため欠かせません。

注文住宅を建てる場合

注文住宅を建てる人には、つなぎ融資がほぼ必須です。注文住宅では、建物の完成前に複数回の支払いが発生します。土地を先に購入する場合はその代金、工事開始時には着工金、さらに工事が進むと中間金が必要になります。しかし、住宅ローンは建物が完成してからでないと実行されないため、それまでの支払いを自己資金だけでまかなうのは難しいのが実情です。その不足を補う手段として、つなぎ融資が利用されます。代表的な支払いのタイミングは以下のとおりです。

  • 土地代の支払い:住宅を建てる前に土地を購入する場合
  • 着工金・中間金:工務店やハウスメーカーへ工事代金を分割で支払う場合
  • 建物完成までの資金:ローン実行までの期間に必要となる費用

建て替えや二世帯住宅の場合

建て替えや二世帯住宅を建てる場合も、つなぎ融資が必要になることがあります。建て替えでは、旧家の解体費や新居の建築費が同時期にかかります。さらに仮住まいの費用も発生するため、完成後に実行される住宅ローンだけでは支払いが間に合いません。二世帯住宅の場合も工事費が大きくなるため、工事中に複数回の支払いが発生します。資金をスムーズに回すために、つなぎ融資を利用するケースが多く見られます。

つなぎ融資の仕組みと流れ

つなぎ融資は、住宅ローンが実行されるまでの支払いを一時的に立て替える仕組みです。特に注文住宅では、土地代や工事費の支払いが建物完成前に複数回発生するため、流れを理解しておくことが重要です。

支払いのタイミング(土地代・着工金・中間金)

注文住宅や建て替えでは、建物完成前に以下の支払いが必要になります。
住宅ローンは完成後にしか実行されないため、これらの支払いを自己資金でまかなえない場合、つなぎ融資が使われます。

支払いの種類発生するタイミング金額の目安
土地代建築前に土地を購入する時購入価格の全額
着工金工事開始時工事費の約1〜3割
中間金工事の途中工事費の約3〜4割

住宅ローン実行までのつなぎ方

つなぎ融資は、工事の支払いごとに金融機関から融資を受け、建物完成後に住宅ローンで精算する流れになります。具体的には次のような手順です。

  1. 土地代の支払い:つなぎ融資を利用して土地を購入
  2. 着工金・中間金の支払い:工事の進行に合わせてつなぎ融資を利用
  3. 建物完成後:住宅ローンが実行され、借入金でつなぎ融資を一括返済

この仕組みによって、建物が完成するまで資金繰りをスムーズに進めることができます。

つなぎ融資のメリットとデメリット

つなぎ融資には「安心して家づくりを進められる」という利点と、「金利や手数料がかかる」という負担面があります。利用を検討する際は、両方を理解しておくことが大切です。

項目メリットデメリット
資金繰り工事中の支払いをスムーズに行える工期が延びると利息負担が増える
利用のしやすさ自己資金が少なくても家づくりを進められるすべての銀行で利用できるわけではない
費用面家づくりを止めずに進められる安心感金利や事務手数料など追加費用が発生する

メリット(安心して家づくりを進められる)

つなぎ融資の最大のメリットは、建物完成前に必要となる支払いを滞りなく行える点です。住宅ローンは建物完成後にしか実行されませんが、工事の進行に合わせて「土地代」「着工金」「中間金」といった費用が発生します。つなぎ融資を利用すれば、自己資金が不足していても支払いが可能となり、工事を予定通り進められます。特に、初めて注文住宅を建てる人にとっては「資金が足りないから工事が止まる」といったリスクを避けられる安心感があります。

デメリット(金利や手数料の負担がある)

つなぎ融資のデメリットは、金利や手数料など追加の費用が発生することです。つなぎ融資は短期間の借入とはいえ、年2〜3%程度の金利がかかる場合が多く、工期が長引けばその分利息も増えます。さらに、事務手数料や印紙代なども発生するため、最終的に数十万円規模のコストとなるケースもあります。また、すべての金融機関でつなぎ融資を取り扱っているわけではなく、ネット銀行などでは非対応の場合も多い点に注意が必要です。

よくある質問

Q1. つなぎ融資が「もったいない」と言われる理由は?

つなぎ融資が「もったいない」と言われるのは、追加費用がかかるからです。短期間の融資でも金利や手数料が発生し、工期が長引けば利息も増えます。自己資金や分割融資でまかなえる場合は不要になるため、「余計なコスト」と感じる人がいるのです。

Q 2. 注文住宅では必ずつなぎ融資が必要ですか?

注文住宅の場合、多くはつなぎ融資が必要になります。土地代や着工金・中間金などの支払いが工事中に発生するためです。ただし、自己資金が十分にある人や、分割融資に対応した銀行を選んだ人は、つなぎ融資を利用せずに済むケースもあります。

Q 3. つなぎ融資の金利はどのくらいですか?

つなぎ融資の金利は一般的に年2〜3%程度です。ただし、銀行によって条件が異なるため一律ではありません。加えて、事務手数料や印紙代なども発生するため、総費用で数十万円かかることもあります。

Q 4. 分割融資とつなぎ融資の違いは何ですか?

分割融資は、住宅ローンを工事中に複数回に分けて実行する方法です。一方、つなぎ融資は完成までの一時的な融資で、完成後の住宅ローンで一括返済します。

項目分割融資つなぎ融資
融資の性質住宅ローンの一部一時的な短期ローン
返済方法返済開始は借入ごとに分割返済完成後に住宅ローンで一括返済
利用できる銀行一部の銀行のみ対応多くの銀行で対応

まとめ

つなぎ融資は、住宅ローンが実行される前に必要な資金を一時的にまかなうための仕組みです。工事中の支払いを安心して進められる一方で、金利や手数料といった負担もあります。ただし、自己資金や分割融資を活用すれば利用を避けられる場合もあります。利用の必要性や条件を確認し、自分に合った方法を選ぶことが大切です。

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