新事業進出補助金のスケジュールや採択率を分かりやすく解説!

2025年度、事業再構築補助金の後継として新設される中小企業新事業進出促進事業(通称:新事業進出補助金)。新事業進出補助金は、中小企業・小規模事業者の成長につながる新規事業進出・事業転換を重点的に支援する補助金です。本コラムでは制度の概要、スケジュールや採択率などについて分かりやすく解説します。
梅沢 博香

更新日:

2025年度新設!中小企業新事業進出促進事業とは?

この記事を監修した専門家

監修専門家: 井上卓也行政書士

井上 卓也

代表・行政書士

補助金・助成金を専門とする行政書士として、補助金申請サポート実績300社以上を有する。

慶應義塾大学卒業後、大手製薬会社での経験を積んだ後、栃木県・兵庫県に行政書士事務所を開業。 『事業再構築補助金』、『ものづくり補助金』、『IT導入補助金』をはじめ、地方自治体を含む幅広いジャンルの補助金に精通。 リモートを中心に全国の事業者の補助金申請サポートを行っている。

新事業進出補助金の公募スケジュール

新事業進出補助金(正式名称:中小企業新事業進出促進事業)は、2025年度(令和6年度補正予算)に新設された補助金制度です。そのため、本年度が初回実施となり、公募回数やスケジュールもまだ確定的ではありません。以下は第1回の確定情報と、第2回以降の予想スケジュールです。

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2025年度のスケジュール一覧(第1回は確定、第2回は予想)

公募回公募開始日申請開始日申請締切日採択発表日
第1回2025年4月22日(火)2025年6月17日(火)18:00 2025年7月10日(木)18:00 2025年10月中旬(予定)
第2回2025年7月中旬(予想)公募開始と同時(予想)開始から約1か月後(例:8月中旬) 第1回採択の約2〜3か月後(例:10月下旬〜11月)

公募〜採択までの期間はどのくらい?

第1回の場合、公募開始から採択発表までは約6か月間です。期間の長さとステップは以下のとおりです。
公募公開
【約2か月】
申請開始
【約23日間】
申請締切
【約3か月】
採択発表
このスケジュールを踏まえ、「いつ何をすべきか」を逆算して準備することが成功のカギになります。

各期間でやるべき準備・対応ポイント

公募開始~申請開始まで(約2か月)

1.事業計画の骨格を作成
新市場でのニーズや自社の強みを整理し、「なぜこの新事業なのか?」を論理的に構築します。対象経費(機械設備、外注費など)の見積収集も並行して進めましょう。
2.認定支援機関との連携を開始
必要書類のすり合わせやアドバイスをもらいながらブラッシュアップします。相談は早めに。支援機関は申請期日直前は予約が取りにくくなります。
3.GビズIDプライムの取得
電子申請に必須。申請から発行まで2〜3週間かかるため、早めに取得しましょう。法人は印鑑証明書、個人事業主はマイナンバーカードが必要です。

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4.添付書類の整理
法人:履歴事項全部証明書、直近の決算書類など
個人:開業届、確定申告書(写し)など

新事業進出補助金の必要書類とは?

申請開始~締切まで(約3週間)

1.電子申請システム(Jグランツ)への入力
初めての方は事前に操作確認を。エラーや不備があると差戻しの可能性もあります。申請内容の整合性と添付書類の形式にも注意しましょう。
2.認定支援機関の「確認書」取得
必須書類。余裕を持ってレビュー依頼しましょう。提出直前は支援機関の対応が逼迫します。締切1週間前には依頼完了が理想です。
3.見積書・スケジュールの最終確認
経費の整合性チェック(補助対象外の費用が混在していないか)します。交付決定前に発注・契約・支出はできません。

締切~採択発表まで(約3か月)

1.事業開始に向けた準備
導入予定の機械や委託業者の選定リストを準備します。導入時期、納品スケジュールの調整もこの期間に進めておきましょう。
2.社内体制の構築
誰が何を担当するか(導入、運用、報告など)をあらかじめ明確にしておきます。補助金事業の実施責任者と実務担当者の連携体制づくりをします。
3.交付決定通知のチェック体制を整える
採択=すぐに発注OKではありません。「交付決定通知」が届いて初めて事業がスタートできます。通知を見逃すと、手続きに遅れが出ることも。

2025年度の公募回数は?

本制度は2025年度(令和6年度補正予算)に新設されたもので、令和8年度末(2026年3月)までにおおよそ4回の公募が実施される予定です。そのため、2025年度中には第1回に続いて、あと1〜2回の追加公募が行われる可能性が高いと見込まれています。ただし、予算の執行状況や第1回の申請件数によっては、公募回数や時期が変更される可能性もあるため、事務局の最新情報を常に確認することが重要です。

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新事業進出補助金とは?

新事業進出補助金は、事業再構築補助金の後継として位置づけられ、中小企業の成長を促進する新事業進出や構造転換への投資を重点的に支援する制度です。この事業は、事業再構築補助金の「成長枠」を引き継いだ内容を含んでおり、中小企業が変化する経済社会に対応して飛躍するための支援を行います。1500億円規模の予算が組まれています。

目的

人手不足や賃上げといった課題に対応しながら、中小企業が既存事業の拡大に加えて、新たな事業の柱を築くことが目的です。特に、新しい市場や高付加価値事業への進出を後押しし、これまでの事業とは異なる分野での挑戦を積極的に支援します。これにより、企業規模の拡大や付加価値の向上を図り、生産性の向上や賃上げにつなげることを目的としています。

基本要件

中小企業が成長・拡大を目指し、新規事業に挑戦することを求めます。
※新規事業:事業者にとって「新製品または新サービスを新規顧客に提供する新たな挑戦」であること。
以下の要件をすべて満たす3~5年の事業計画が必要です。

1.付加価値額の成長

年平均成長率を+4.0%以上増加させること。

2.給与支給総額の成長

1人あたり給与支給総額の年平均成長率が、以下のいずれかを満たすこと。

  • 事業実施都道府県の最低賃金直近5年間の年平均成長率以上
  • 年平均成長率+2.5%以上増加

3.最低賃金の引き上げ

事業所内最低賃金を、地域別最低賃金+30円以上の水準に設定すること。

4.次世代育成支援対策

次世代育成支援対策推進法に基づき、一般事業主行動計画を公表すること。これらを実現するための具体的な事業計画を策定してください。

事業スキーム

中小企業新事業進出補助金スキー参考:中小企業新事業進出補助金のパンフレット

補助率/補助額

補助率補助額
1/2従業員数20人以下 2,500万円(3,000万円) 従業員数21~50人 4,000万円(5,000万円) 従業員数51~100人5,500万円(7,000万円) 従業員数101人以上 7,000万円(9,000万円)

※補助下限750万円
※大幅賃上げ特例適用事業者(事業終了時点で①事業場内最低賃金+50円、②給与支給総額+ 6%を達成)の場合、補助上限額を上乗せ。(上記カッコ内の金額は特例適用後の上限額)

対象者

企業の成長・拡大に向けた新規事業への挑戦を行う中小企業等

補助対象経費

建物費、構築物費、機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウド サービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、広告宣伝・販売促進費

補助事業期間

交付決定日から14か月以内(ただし採択発表日から16か月以内)

その他

  • 収益の納付は不要です。
  • 基本要件②・③を達成できなかった場合、未達成率に応じて補助金の返還が求められます。ただし、付加価値の増加がなく、全体の営業利益が赤字の場合や、天災など事業者に責任がない理由がある場合は返還が免除されます。

新事業進出補助金の採択率

本補助金の採択率は40%前後と予測されています。
事業再構築補助金の初回採択率(約60%)と比較すると低めで、直近の30%弱に近い水準です。近年の審査厳格化に加え、4月開始で準備期間が長いため申請数が増え、同程度の採択率になると考えられます。

新事業進出補助金に採択されるには?

新事業進出補助金の採択率を高めるためのポイントは以下の4つです。

  1. 質の高い事業計画書の作成
  2. 審査基準に沿った書類作成
  3. 基本要件の遵守
  4. 専門家のサポートを活用

1. 質の高い事業計画書の作成

補助金の審査では、「この計画は本当に実現可能なのか」「補助金によって成長が見込めるのか」が厳しくチェックされます。単なる夢や希望ではなく、実行力と収益性の裏付けがある計画を提出することが採択の前提条件です。具体的な行動計画の明示例えば、「○年○月までに新設備を導入し、○○製品の試作を開始」「○年内に販路拡大のための展示会出展を実施」など、時系列に沿った具体的なステップを記載しましょう。

数値目標による説得力の強化売上・利益・雇用人数・付加価値額の増加など、数値で成果を見せることで、審査側に「実現した後の姿」をイメージしてもらえます。
自社の強みを根拠にした実現可能性の提示「これまでの製造実績」「地域での独自技術」「業界内の信頼」など、他社と差別化できる要素をしっかり言語化し、計画が机上の空論でないことを証明しましょう。

2. 審査基準に沿った書類構成

審査員は、限られた時間で多数の申請書を読みます。そのため、伝わりやすさと整合性が何より重要です。補助金の目的や評価項目を踏まえ、読み手目線で設計された書類が求められます。補助金の趣旨と自社の目的が合致していることを明示たとえば「地域経済の活性化」や「雇用創出」「産業の高度化」といった政策目的に、自社の事業がどう貢献するかをしっかり説明しましょう。

論理的で視認性の高い構成「現状課題→解決手段→期待効果」といった一貫したロジックで構成し、箇条書きや見出しを効果的に活用することで、審査員の理解を助けます。
図表・グラフの活用で視覚的にアピール成長戦略や収益予測などをグラフ化し、文章だけでは伝わりにくい部分を補強しましょう。

3. 基本要件の厳守

どれほど魅力的な計画でも、制度上の要件を満たしていなければ不採択となります。とくに以下の数値要件には要注意です。
付加価値額の年平均成長率を4.0%以上とすること売上や人件費などを踏まえた「付加価値額」が申請前より4%以上伸びる見通しが必要です。計算根拠や裏付けを明確にしておきましょう。

事業場内最低賃金を、地域別最低賃金より30円以上引き上げること補助金交付期間中の賃金設定に関わる重要な要件です。人件費の予算計上と整合性が取れているか、慎重に確認しましょう。

4. 専門家のサポートを活用する

補助金申請は制度の理解・事業計画の構築・数字の整合性など、複数の知識とノウハウが求められます。初めて申請される事業者にとっては、非常に高いハードルとなることも。
そのため、補助金の申請支援に精通した中小企業診断士やコンサルタントなどの専門家にサポートを依頼することは非常に有効です。

  • 申請書の内容チェックやブラッシュアップ
  • 審査員の視点に立った表現や構成へのアドバイス
  • 添付書類の整備、入力ミスの防止、代理申請の補助など

弊社でも、中小企業新事業進出促進事業に特化した申請支援を実施しています。今年度の申請をお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください

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新事業進出補助金の活用事例 

では、新事業進出補助金が実際にどのように活用できるのか、公式サイトの情報を参考に、具体的な事例を予想してみました。以下2つの事例が想定されます。

事例1:機械加工業から半導体製造装置部品製造への進出

補助金を使う前の課題点

A社は、自動車部品や産業機械部品の製造を中心に事業展開してきましたが、EVシフトや海外市場への生産移転の加速により、国内での受注減少が課題となっていました。これまでの金属加工技術を活かしつつ、将来性のある新市場に転換したいというニーズが高まっていました。

補助対象経費

  • 半導体装置部品向けの高精度加工機(五軸マシニングセンタ)の導入費
  • クリーンルーム対応の加工環境整備費
  • 品質管理のための三次元測定器などの検査設備費
  • 新市場開拓に向けた広告宣伝費

成果

本補助金により、精度や衛生基準の高い半導体業界に対応できる製造体制が整備され、大手装置メーカーとの取引を新たに獲得。既存の事業に依存しない新たな収益の柱を確立し、経営の安定化と付加価値向上に成功しました。

事例2:医療機器製造の技術を活かしてウイスキー蒸留業に参入

補助金を使う前の課題点

B社は、医療機器の製造で高い技術力と衛生管理体制を構築していましたが、市場規模の頭打ちや取引先の集約化により、事業の将来性に不安を感じていました。特にBtoB依存から脱却し、自社ブランドを持つBtoCビジネスを展開したいという思いがありました。

補助対象経費

  • 衛生管理基準を満たす蒸留所の建設費
  • ウイスキーの蒸留器・熟成用樽などの製造設備費
  • 蒸留工程の管理システム等のシステム構築費
  • 商品ブランド立ち上げのための広告宣伝・販売促進費

成果

精密衛生技術を応用したウイスキー製造を実現し、クラフトウイスキーの自社ブランドを立ち上げ。さらに、蒸留所見学ツアーなど地域活性化にもつながる事業展開を進めており、BtoC市場への進出と企業価値の向上に結びついています。

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新事業進出補助金と事業再構築補助金の違いは?

比較項目中小企業新事業進出促進事業事業再構築補助金
実施期間交付決定から14ヶ月以内(一部回では最大16ヶ月の場合あり)交付決定から12ヶ月以内(延長申請が認められた場合は最大18ヶ月まで可)
対象事業の新規性新製品 × 新市場の組み合わせが基本(既存事業の延長や業態転換は対象外となる傾向)業態転換・新分野展開・事業再編など幅広く対象(ただし定義は厳格)
補助率1/2(補助率の特例なし。評価加点措置あり)1/2、一定条件(例:賃上げ等)で2/3まで引上げ可(枠により異なる)
補助上限額(通常枠)2,000万~7,000万円(従業員数により変動)枠により異なり、最大1.5億円(グリーン成長枠など)も存在
補助上限額(特例)最大9,000万円(賃上げや成長性要件など複数の要件を満たす必要あり)賃上げ要件等により補助率アップ・加点対象となるが、上限額は枠ごとに固定されることが多い
特例・加点措置賃上げ(例:最低賃金+50円、給与総額6%増など)により加点や上限額引上げの対象賃上げ等の実施で加点評価・補助率アップ対象(1/2→2/3など)。一部枠では要件として必須の場合も

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参考:中小企業庁
参考:中小企業新事業進出補助金のパンフレット

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