建設業の融資は審査が厳しい?3つの資金調達ポイントを解説!
建設業は資金調達が難しいと言われています。
出費が多く、代金の回収も他の業界に比べて遅くなりがちです。
今回は建設業を営む方に向けて、3つの資金調達のポイントを解説します。
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この記事を監修した専門家
補助金・助成金を専門とする行政書士として、補助金申請サポート実績300社以上を有する。
慶應義塾大学卒業後、大手製薬会社での経験を積んだ後、栃木県・兵庫県に行政書士事務所を開業。 『事業再構築補助金』、『ものづくり補助金』、『IT導入補助金』をはじめ、地方自治体を含む幅広いジャンルの補助金に精通。 リモートを中心に全国の事業者の補助金申請サポートを行っている。
建設業ではどんな資金が必要?
建設業では、事業運営に必要な資金が他の業種と比べて多岐にわたるのが特徴です。
その中でも、特に大きな割合を占めるのが工事の前払金や材料費、労務費、機械の購入費です。
これらの費用は、案件の受注から工事完了、そして最終的な代金回収までの間に発生するため、適切な資金繰りが求められます。
工事に必要な資材を先行して調達する場合や、労務費を支払う場合には、工事代金を回収する前に資金を確保する必要があります。
また、大規模な工事や特殊な機械が必要なプロジェクトでは、一時的に多額の資金が必要となるケースもあります。
たとえば、高額な機械や車両を購入する際には、融資やリース契約を利用する企業も多く見られます。
加えて、建設業では下請業者への支払いも早期に求められる場合が多く、これも資金需要を増加させる要因です。
こうした状況に対応するためには、事業規模に合った適切な資金計画を立てることが重要です。
資金不足が原因で工期の遅延や取引先とのトラブルが生じるリスクを回避するため、日常的な資金管理が欠かせません。
まとめると、主にこれらの費用がかかります。
建設業の資金調達はなぜ難しいと言われるのか?
建設業の資金調達が難しいとされる理由は、業界特有の収益構造やリスクの高さにあります。
建設業では、工事代金の支払いが工事完了後になることが一般的です。
そのため、案件ごとに前払いの材料費や労務費を確保する必要があり、工事完了までの間に多額の資金が必要となります。
この「支払いと収入のタイミングのズレ」が資金調達を難しくしている主因です。
また、工事の進行中に予期せぬコストが発生する可能性が高いことも問題です。
たとえば、天候の影響による工期の遅延や、資材価格の高騰がコストに大きく影響することがあります。
こうした不確定要素が多いため、金融機関は建設業を高リスクな業界とみなし、融資の審査が厳しくなる傾向があります。
さらに、建設業者の多くが中小企業や個人事業主であるため、十分な信用力を示すことが難しい場合もあります。
たとえば、経営状況が不安定だったり、担保価値のある資産を持っていなかったりする場合、融資を受けることが困難になる可能性があります。
こうした要因を踏まえ、建設業者が資金調達を円滑に行うには、事前にしっかりとした事業計画を策定し、金融機関との信頼関係を構築することが求められます。
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建設業の融資において、意識すべきポイントが3つあります。下記で1つずつ解説していきます。
- ポイント1:事業計画を立てておく
- ポイント2:資金調達先を複数考えておく
- ポイント3:融資先との関係を深めておく
ポイント1:事業計画を立てておく
建設業で融資を成功させるためには、まず確実な事業計画を立てることが重要です。
金融機関は、融資先の事業が収益を上げる見込みがあるかどうかを評価するため、計画書の内容を細かく確認します。
事業計画には、具体的なプロジェクトの内容、必要な資金の用途、予想される収益やコスト、さらに返済計画を含めることが求められます。
特に、建設業では工事の完了までに多額の費用が先行するため、収入と支出のタイミングを明確に示す必要があります。
たとえば、工期の見通しや工事受注の見込みを数字で表すことで、金融機関に対する信頼性が向上します。
また、過去の受注実績や完成工事高をデータとして示すことで、事業の安定性をアピールすることも効果的です。
計画書の質が高いほど、融資の審査が通りやすくなるため、時間をかけて綿密な事業計画を作成することが重要です。
専門家の意見を取り入れることで、より説得力のある計画を構築することもおすすめです。
ポイント2:資金調達先を複数考えておく
建設業では、一つの融資先に依存するリスクを避けるために、資金調達先を複数確保しておくことが重要です。
金融機関の審査基準や融資条件は時期や状況によって変動するため、複数の選択肢を持つことで、急な資金需要にも柔軟に対応できます。
たとえば、銀行融資だけでなく、信用保証協会の保証付き融資や建設業振興基金の制度など、公的な融資を活用することも有効です。
また、取引先や協力会社との連携による資金調達や、リース契約などの手法も検討することで資金繰りを安定させられます。
さらに、資金繰りを検討する際には、短期的なニーズだけでなく、長期的な事業計画を見据えた選択を行うことが必要です。
調達コストや返済条件を比較検討し、適切な組み合わせを選ぶことで、資金不足や返済不能のリスクを最小限に抑えられます。
ポイント3:融資先との関係を深めておく
金融機関との信頼関係を構築することは、建設業における資金調達を円滑に進める上で欠かせません。
信頼関係を築くためには、普段から取引金融機関とのコミュニケーションを密にし、自社の経営状況を適切に共有することが求められます。
定期的に経営状況や事業計画を報告し、財務データを提供することで、金融機関はその企業の健全性を把握しやすくなります。
また、返済期限を守ることや、計画的な借り入れを行うことで、信頼を積み重ねることができます。
新規の融資を申し込む際にも、既存の取引実績が信用力を高める重要な要素となります。
さらに、金融機関の担当者と良好な関係を築くことで、業界特有の課題について相談しやすくなり、融資条件の調整や新たな提案を受けやすくなります。
このように、金融機関との関係性を重視することは、建設業における資金調達を成功に導く鍵となります。
建設業でおすすめの融資4選!
- 銀行融資
- 信用保証協会の保証付き融資
- 建設業振興基金の出来高融資制度
- 日本政策金融公庫の新創業融資制度
銀行融資
建設業で広く利用されている融資方法の一つが銀行融資です。
銀行は、事業規模や信用力に応じた多様な融資商品を提供しており、建設業者が短期的な運転資金から設備投資資金まで幅広いニーズを満たすことが可能です。
特に、大規模工事の前払金や資材購入費用の調達に活用されています。
銀行融資のメリットは、借り入れ金額や返済期間を柔軟に設定できる点にあります。
一方で、融資審査は厳格であり、特に建設業の場合、経営状況や過去の実績が重要な評価基準となります。
融資を成功させるためには、綿密な事業計画書の提出が欠かせません。
また、銀行と日頃から良好な関係を築いておくことも、審査を通過する上で有効な手段です。
信用保証協会の保証付き融資
信用保証協会の保証付き融資は、建設業者にとって資金調達の大きな助けとなる制度です。
この仕組みでは、保証協会が金融機関に対して借入金の保証を提供するため、借入人自身が十分な担保を用意できなくても融資を受けられる可能性が高まります。
この制度の大きな利点は、中小企業や個人事業主でも利用しやすい点です。
また、保証を得ることで金融機関のリスクが軽減され、通常よりも有利な条件で融資を受けられる場合があります。
ただし、保証料が発生するため、融資コスト全体を検討する必要があります。
信用保証協会の利用にあたっては、必要書類を事前に整備し、計画的に準備を進めることが重要です。
参考:全国信用保証協会連合会(初めての融資と信用保証)
建設業振興基金の出来高融資制度
建設業特有のニーズに応じた資金調達方法として、建設業振興基金の出来高融資制度があります。
この制度は、工事の進捗状況に応じて必要な資金を段階的に調達できる仕組みです。
特に、大規模な工事案件を抱える建設業者にとって、資金負担を軽減する重要な選択肢となります。
出来高融資の利点は、工事の進行に合わせて資金を受け取るため、過剰な借入を防げる点にあります。
また、金融機関に対する説明責任が明確化されるため、融資審査の通過率が向上することも期待されます。
この制度を利用する際は、工事の出来高報告書や契約書などの提出が求められるため、事前に十分な準備が必要です。
参考:建設業振興基金(出来高融資制度)
日本政策金融公庫の新規開業資金
日本政策金融公庫が提供する新規開業資金は、建設業を新たに始める際に非常に有用な融資制度です。
この制度の大きな特徴は、事業のスタートアップを支援するための低金利での融資を受けられる点にあります。
具体的には、開業時に必要な設備資金や運転資金を幅広くカバーでき、建設業特有の資金需要にも対応しています。
日本政策金融公庫が新規開業資金を提供する理由は、創業初期に資金調達の難しさがあるためです。
特に、建設業では受注から入金までの時間が長いケースが多く、開業後すぐに安定した資金繰りが難しい場合があります。
この融資は、事業開始における資金繰りを安定させるための大きな助けとなります。
建設業の開業において最初の大型機材購入やオフィス設備、工事前の先行費用が発生する場合でも、この制度を活用することで必要な資金を迅速に調達できます。
また、融資金額や返済期間について柔軟な設定が可能であるため、事業計画に合わせた調整がしやすい点もメリットです。
この融資を最大限に活用するためには、事前に事業計画書をしっかりと準備し、資金用途を明確にすることが重要です。
開業資金の支援を通じて、建設業の成功的なスタートを切り、長期的な事業運営の基盤を整えましょう
参考:日本政策金融公庫(新規開業資金)
建設業で融資を活用する際に別途必要な書類
建設業で融資を申請する際には、通常の財務諸表や事業計画書に加えて、業界特有の書類を提出する必要があります。
これらの書類は、事業の実績や現在の工事状況、資金の用途を具体的に説明するために重要です。
提出を求められる主な書類には、受注明細書、工事受注表、工事現況調書、完成工事実績表、受注工事明細書、請負工事明細書などがあります。
たとえば、受注明細書は、現在受注している工事の規模や進捗状況を示すため、金融機関が事業の安定性を評価する上で必要です。
また、工事現況調書や完成工事実績表は、過去の実績を示し、将来の収益見込みを説明する際に役立ちます。
さらに、機械購入費用が融資対象となる場合には、見積書や契約書を追加で提出することが一般的です。
これらの書類を適切に用意することで、金融機関が融資先としての信頼性を判断しやすくなり、審査の通過率を高めることが可能です。
あらかじめ必要書類を確認し、不足がないよう準備を進めることが、スムーズな融資手続きにつながります。
改めて、別途必要な書類を下記にまとめておきました。
- 受注明細書
- 工事受注表
- 工事現況調書
- 完成工事実績表
- 受注工事明細書
- 請負工事明細書
- 機械購入時の見積書
建設業の融資に関する相談はどこで受けられる?
融資の専門家
建設業の融資に関して専門的な助言を受けたい場合、税理士や中小企業診断士、ファイナンシャルプランナーなどの融資の専門家に相談することが効果的です。
これらの専門家は、融資を受けるための書類作成や事業計画の策定、資金繰りのアドバイスを行っており、特に初めて融資を検討する場合に心強いサポートとなります。
たとえば、税理士は事業の財務状況を整理し、融資審査を通過しやすい形で情報をまとめる手助けをしてくれます。
また、中小企業診断士は、経営課題を分析し、適切な資金調達方法を提案するなど、経営全般のアドバイスを提供します。
専門家のサポートを受けることで、金融機関との交渉もスムーズに進められる可能性が高まります。
金融機関の担当者
融資を検討する際、まず相談すべき相手は、取引先の金融機関の担当者です。
銀行や信用金庫の担当者は、企業の資金ニーズや状況に応じた融資商品の提案を行い、手続き全般をサポートしてくれます。
また、地域密着型の金融機関であれば、地元建設業者に特化した融資制度や公的融資との連携について詳しい情報を提供してくれる場合もあります。
金融機関の担当者に相談する際には、事前に事業の現状や必要な資金の用途を明確にしておくことが重要です。
さらに、取引の実績を積み重ねることで、担当者との信頼関係を築きやすくなり、融資条件の交渉が有利に進むことも期待できます。
定期的なコミュニケーションを通じて、金融機関との関係性を強化しておくことが大切です。
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今回は建設業において融資を活用する際に意識すべきポイントについて解説しました。
建設業は支出が多く、代金の回収も後手後手に回りがちなので、早めに代金回収をすると良いでしょう。
融資審査においては、金融機関との関係値や仕事の実績なども判断材料になるため、事業計画をはじめ、きちんと下準備から取り組みましょう。
当コラムを参考に、資金調達を不安なくスムーズに行えるようにしてください。
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