保証人とは?
保証人とは、借り手が債務を返済できなくなった場合に、代わりに支払い義務を負う人のことです。
金融機関や不動産会社が融資や賃貸契約を行う際、借り手の信用を補完し、債権を保全するための重要な役割を果たします。
たとえば、住宅ローンを組む際に、両親が保証人になるケースが一般的です。
借り手が失職などで返済が困難になった場合、保証人である両親が返済義務を引き継ぐことになります。
つまり保証人は、借り手の債務に対して第三者として法的な支払い責任を負う重要な存在なのです。
融資における保証人とは、借り手が返済できない場合に代わりに返済する責任を負う人のことです。 保証人の中には「連帯保証人」などの種類があり、かなり複雑ですよね。 今回は融資における保証人制度について、トラブル発生時の対処法も交えて解説します。
カミーユ行政書士事務所代表・行政書士
補助金・助成金を専門とする行政書士として、補助金申請サポート実績300社以上を有する。
慶應義塾大学卒業後、大手製薬会社での経験を積んだ後、栃木県・兵庫県に行政書士事務所を開業。 『事業再構築補助金』、『ものづくり補助金』、『IT導入補助金』をはじめ、地方自治体を含む幅広いジャンルの補助金に精通。 リモートを中心に全国の事業者の補助金申請サポートを行っている。
保証人とは、借り手が債務を返済できなくなった場合に、代わりに支払い義務を負う人のことです。
金融機関や不動産会社が融資や賃貸契約を行う際、借り手の信用を補完し、債権を保全するための重要な役割を果たします。
たとえば、住宅ローンを組む際に、両親が保証人になるケースが一般的です。
借り手が失職などで返済が困難になった場合、保証人である両親が返済義務を引き継ぐことになります。
つまり保証人は、借り手の債務に対して第三者として法的な支払い責任を負う重要な存在なのです。
担保と保証人は、どちらも債権者の利益を保護する仕組みですが、その性質は大きく異なります。
担保は不動産などの資産で保証することであり、保証人は保証人となった人自身が支払いを肩代わりするという違いがあるのです。
具体的には、担保を差し出して融資を受け、支払いができなくなった場合はその担保を売却、もしくは競売にかけて支払いに充てます。
一方で保証人は融資を受けた人が支払いできなくなった場合、保証人に支払いの通知や取り立てが行われます。
このように、同じ保証でも、担保と保証人は異なっているので、それぞれの特徴を理解しておきましょう。
担保についてはこちらのコラムで解説しているので、参考にしてください。
【審査に有利!】融資担保のメリット・デメリットを徹底解説
事業融資に用いられる保証人は、主に3つあります。
1つ目は保証人です。事業融資において、保証人は債務者の返済能力を補完する重要な役割を果たします。
保証人の役目は、融資のリスクを軽減し、金融機関が融資を行いやすくなるところにあります。
保証人制度は、中小企業や個人事業主にとって融資を受けやすくする一方で、保証人自身にとっては大きな責任を伴うのです。
債務者が倒産した場合、保証人は自身の資産で債務を返済しなければならない可能性があります。
したがって、保証人になる際は、その責任の重大さを十分に理解し、慎重に検討する必要があります。
2つ目は連帯保証人です。連帯保証人は、通常の保証人よりも重い責任を負う存在です。
連帯保証人は、債務者と同等の責任を負い、債権者から直接請求を受ける可能性があります。
この制度により、金融機関はより安全に融資を行うことができます。
連帯保証人制度の特徴は、債権者が債務者に請求する前に、連帯保証人に対して直接支払いを請求できる点です。
これにより、債権回収の確実性が高まります。企業の代表者が連帯保証人となった場合、企業の信用力が補完されることがあります。
しかし、連帯保証人の責任は非常に重大であり、近年では過度な負担を避けるための法改正も行われています。
連帯保証人制度は、融資の促進と債権者保護のバランスを取る上で重要な役割を果たしているのです。
3つ目は物上(ぶつじょう)保証人です。物上保証人は、特定の財産を担保として提供することで、債務者の債務を保証する役割を果たします。
この制度は、人的保証とは異なり、特定の資産のみを担保とするため、保証人の負担が限定的であるという特徴があります。
物上保証の最大の利点は、保証の範囲が明確で限定的であることです。
具体的には、不動産を担保として提供する場合、その不動産の価値の範囲内でのみ責任を負うことになります。
これにより、過度な負担を避けつつ、融資の促進を図れるのです。
物上保証人制度は、担保資産の明確性と責任の限定性により、融資取引の安全性と効率性を高める役割を果たしています。
融資の審査において、保証人の存在は非常に重要な役割を果たします。
保証人は、借り手の信用力を補完し、融資のリスクを軽減する機能を持っており、金融機関はより安心して融資を実行できるのです。
保証人の存在が融資審査に影響を与える主な理由は、債務の返済可能性を高めることにあります。
借り手が返済困難に陥った場合でも、保証人がその債務を負担することで、金融機関の損失リスクが軽減されます。
中小企業が事業拡大のための融資を申し込む際、代表者やオーナーが個人保証人となることで、企業の信用力が補強され、融資が承認されやすくなるのです。
しかし、保証人制度には課題があり、過度に保証人に依存することは、借り手の返済能力の評価を阻害する可能性があります。
また、保証人自身にも大きな負担がかかる可能性があるため、近年では保証人の責任を限定する動きもあります。
以上を踏まえると、融資審査における保証人の役割は重要ですが、その活用には慎重な判断が必要です。
金融機関は、保証人の存在を考慮しつつも、借り手の事業性や返済能力を適切に評価することが求められます。
保証人制度は融資の円滑化に寄与する一方で、適切なバランスを保つことが重要なのです。
保証人制度の利用時に起きる3つのトラブルと、その対処法について解説します。
金融機関からの追加保証人要求は、借り手にとって大きな負担となる可能性があります。
このような場合は、まず追加保証人要求の理由を明確に理解することから始めましょう。
金融機関が追加保証人を求める背景には、通常、借り手の信用力や事業の安定性に対する懸念があります。
これに対して、事業計画の詳細な説明や財務状況の改善策を提示することで、金融機関の不安を軽減できるのです。
過去の実績や今後の収益予測を具体的に示したり、経費削減計画を提案したりすることで、事業の将来性をアピールできます。
また、担保となる資産の追加提供や、既存の保証人の保証能力の強化を提案することも一つの方法です。
追加保証人要求への対応は、単に要求を受け入れるだけでなく、事業の健全性を示す機会として捉えましょう。
金融機関との建設的な対話を通じて、互いに納得できる解決策を見出すことが、長期的な信頼関係構築につながります。
保証人になることは、重大なリスクを伴う決断です。
債務者が返済不能に陥った場合、保証人は自身の資産で債務を返済する義務を負うことになります。このリスクを理解し、適切に管理することが極めて重要です。
保証人のリスクは、予期せぬ多額の債務負担と、それに伴う個人資産の喪失にあります。
特に連帯保証人の場合、債務者と同等の責任を負うため、リスクはさらに高まるでしょう。
このリスクを回避するための方法として、まず保証の範囲を限定することが挙げられます。
たとえば、特定の資産のみを担保とする物上保証を選択したり、保証金額に上限を設けたりすることで、リスクを軽減できます。
また、債務者の事業状況や財務状況を定期的に確認し、問題が生じる前に対処することも重要です。
さらに、近年では「経営者保証に関するガイドライン」などの制度が整備され、個人保証の負担軽減が進んでいます。
これらの制度を活用し、適切な保証形態を選択することで、保証人のリスクを最小限に抑えることが可能です。
保証人のリスク管理は、慎重な判断と適切な対策の組み合わせが鍵となるので、リスクを十分に理解し、安全に保証人としての役割を果たしましょう。
リスケジュール(返済計画の見直し)時に発生する保証人問題は、慎重に対処する必要があります。
リスケジュールでは、保証人の負担増加や新たな保証人の追加要求など、複雑な問題が生じる可能性があります。
リスケジュール時の保証人問題に対処する際、最も重要なのは、全ての関係者(債務者、保証人、金融機関)間でのコミュニケーションです。
債務者の現状と今後の返済計画を明確に示し、保証人の負担可能な範囲を慎重に検討しましょう。
具体的な対処法としては、まず既存の保証人の負担軽減を検討します。
保証債務の一部免除や、保証範囲の限定などを金融機関と交渉することが考えられます。
また、事業の再生計画を具体的に示すことで、新たな保証人の追加なしでリスケジュールを実現できるのです。
実際に、中小企業再生支援協議会などの公的機関を活用し、第三者の視点を交えて再生計画を策定することで、金融機関の理解を得やすくなったケースもあります。
リスケジュール時の保証人問題は、単なる債務の問題ではなく、事業の継続性と関係者の将来に関わる重要な課題です。
全ての関係者が協力し、互いの立場を尊重しながら、最適な解決策を見出すことが重要です。
ここでは保証人なしで受けることのできる2つの公的融資についてご紹介します。
日本政策金融公庫の国民生活事業は、個人事業主や小規模事業者向けに、保証人なしで融資を受けられる重要な公的融資制度です。
この制度は、通常の金融機関では融資を受けにくい小規模事業者の資金調達を支援し、地域経済の活性化に貢献しています。
国民生活事業の最大の特徴は、事業の将来性や経営者の資質を重視した審査を行う点です。
これにより、担保や保証人がなくても、事業計画の妥当性や経営者の能力が認められれば、融資を受けることが可能になります。
この制度は、特に創業支援や事業拡大のための資金調達に効果的です。
店舗の内装費用や初期運転資金を保証人なしで調達できた事例や、既存の小売店が商品ラインナップ拡大のための資金を獲得できた事例などがあります。
また、この制度は経済環境の変化に応じて対応しており、新型コロナウイルス感染拡大期に影響を受けた事業者向けの特別融資制度を設けていました。
日本政策金融公庫の国民生活事業による融資は、保証人に頼らない資金調達手段として、小規模事業者の成長と経済の多様性を支える重要な役割を果たしています。
この制度を活用することで、多くの事業者が新たなビジネスチャンスを掴み、事業を発展させる可能性が高まるでしょう。
参考:日本政策金融公庫(保証人に依存しない融資)
信用保証協会の保証付き融資は、個人保証に頼らず事業資金を調達できる重要な選択肢です。
この制度は、中小企業の資金調達を支援し、経済の活性化に寄与する重要な役割を果たしています。
信用保証協会が保証人の役割を果たすことで、事業者は個人保証なしで融資を受けることが可能になります。
これにより、事業者の個人資産へのリスクが軽減され、より積極的な事業展開が可能となります。
この制度の大きな特徴は、金融機関にとってのリスクを軽減することで、融資の承認率を高めている点です。
創業間もない企業や、一時的に業績が悪化している企業でも、事業計画の妥当性が認められれば融資を受けられる可能性が高まります。
実際に、多くの中小企業がこの制度を活用して事業を発展させているのです。
このように、信用保証協会の保証付き融資は、個人保証に依存しない健全な資金調達手段として、中小企業の成長と経済の安定に貢献しています。
この制度を適切に活用することで、事業者はより自由度の高い経営戦略を立てることが可能となるのです。
参考:全国信用保証協会連合会(はじめての融資と信用保証)
近年、事業融資の在り方を大きく変える新しい保証制度が導入されています。
これらの制度は、従来の個人保証に依存しない形で、より柔軟で効果的な融資を可能にしています。
その代表例が、経営者保証に関するガイドラインの導入です。
このガイドラインは、経営者の個人保証を求める際の基準を明確化し、過度な保証要求を抑制することを目的としています。
これにより、事業と経営者の個人資産の分離が進み、より健全な事業運営が実現しつつあるのです。
これらの新しい保証制度の導入は、事業者の資金調達手段を大幅に拡大しています。
創業間もない企業や小規模事業者など、これまで融資を受けにくかった事業者にも新しい機会が生まれつつあります。
また、経営者の個人資産に過度な負担がかからないため、より積極的な事業展開が可能です。
これらの新しい保証制度の登場は、事業融資の在り方を大きく変革しつつあります。
事業者は、これらの制度を適切に活用することで、これまで以上に事業資金を調達し、企業の成長と地域経済の活性化につなげることができるでしょう。
今回は融資の保証人制度について解説しました。保証人制度は融資において有利に働きますが、その分リスクも潜んでいます。
対処法を知っておかないと、思わぬ事態を招く原因になりかねません。今回のコラムで対処法を知り、もしもの時に備えましょう。
また、保証人が必要ない融資もあるので、現在のご自身の状況に合わせて、保証人制度を利用するのかを柔軟に判断していくことが重要です。
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