ポイント
- 農業に使える補助金は「国」「都道府県」「市町村」の3種類あり、個人でも返済不要で利用可能
- トラクター・ハウス・機械導入などの設備投資費も対象
- 60歳以上や兼業農家でも条件を満たせば申請できる
農業に使うトラクターやビニールハウスなどの導入に、国や自治体の補助金が活用できます。本コラムでは、これらの農業に使える補助金を紹介します。

カミーユ行政書士事務所代表・行政書士
補助金・助成金を専門とする行政書士として、補助金申請サポート実績300社以上を有する。
慶應義塾大学卒業後、大手製薬会社での経験を積んだ後、栃木県・兵庫県に行政書士事務所を開業。 『事業再構築補助金』、『ものづくり補助金』、『IT導入補助金』をはじめ、地方自治体を含む幅広いジャンルの補助金に精通。 リモートを中心に全国の事業者の補助金申請サポートを行っている。
農業に使える補助金には、国の補助金と自治体(都道府県・市町村)の補助金や助成金の2種類があります。どちらも返済不要で利用できますが、目的や対象者が少し違います。
国の制度は全国で共通のルールに基づいて運用され、自治体の制度は地域の特徴や課題に合わせて内容が決められています。
農業では、トラクターやビニールハウスなどの設備を導入するだけでも、1台あたり数百万円規模の投資が必要になることもあります。そうした大きな出費を支えるためにも補助金の活用がおすすめです。
全国新規就農相談センターの調査によると、助成金や奨励金の交付を受けている農業者は全体の約6割にのぼります。つまり、補助金制度は、大企業だけのものではなく、多くの農家が実際に活用している一般的な支援策といえます。
これらの制度を上手に使うことで、設備投資の負担を減らし、経営の安定化や生産性の向上につなげることができます!
参考:農業をはじめる.jp(全国新規就農相談センター)
以下、農業に使える補助金の種類です。
| 区分 | 主な制度例 | 特徴 |
| 国の補助金 | ・農地利用効率化等支援交付金 ・就農準備資金・経営開始資金 など | 全国共通の制度。機械・施設の導入、新規就農、スマート農業、省力化などを幅広く支援 |
| 自治体の補助金・助成金 | ・静岡市「グリーン農業推進事業補助金」 ・岩手県八幡平市「親元就農支援金」など | 地域密着型。個人・小規模・高齢農家でも申請しやすい内容が多い |
国と自治体の補助金のどちらを選ぶかは、目的と投資の規模で判断するのが基本です。
トラクターなどの大型設備導入やスマート農業のような大規模投資には国の補助金を、家族経営の引き継ぎや環境配慮型農業など地域密着の取組みには自治体の補助金を活用するのが現実的です。
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農業に使える国の補助金としては、農林水産省の
などが挙げられます。では、両者を詳しく解説していきます。
農地利用効率化等支援交付金は、地域の担い手が農業機械や施設を導入して生産性を高めることを目的とした補助金です。地域の農家が共同で設備を導入したり、省エネ型機械に更新したりする場合に活用できます。
対象は、各地域で策定される「地域計画(目標地図)」に位置付けられた農業者や法人です。
| 項目 | 内容 |
| 対象者 | 地域の担い手(認定農業者、集落営農、法人など)で、地域計画に位置付けられていること |
| 対象経費 | 農業機械(トラクター、田植機、乾燥機など)、ハウス、乾燥設備、共同利用施設など |
| 補助率・上限額 | 補助率は1/3〜1/2以内、上限は300〜1,500万円(タイプによって異なる) |
就農準備資金・経営開始資金は、農業を始めたい方、あるいは始めたばかりの方をサポートする返済不要の支援制度です。「これから学ぶ人」と「すでに始めた人」で使える資金が分かれています。
農業を始めるための研修を受けている方に、月12.5万円(年150万円)を最長2年間支給する制度です。研修中の生活費や交通費の負担を減らし、安心して技術を学べるように設けられています。
| 項目 | 内容 |
| 対象 | 農業を目指す49歳以下の研修生 (独立・雇用・親元就農を予定している方) |
| 支給額 | 月12.5万円(年150万円)を最長2年間 |
| 申請先 | 市町村、都道府県(農業大学校などの研修機関) または全国農業委員会ネットワーク機構 |
| 条件 | ・年間1,200時間以上の研修を1年以上受ける ・常勤の仕事をしていない ・世帯所得600万円以下 など |
活用の例
独立して農業を始めた方に、月12.5万円(年150万円)を最長3年間支給する制度です。経営が安定するまでの間、生活費や運転資金を補えるのが特徴です。
| 項目 | 内容 |
| 対象 | 独立・自営就農した49歳以下の「認定新規就農者」 |
| 支給額 | 月12.5万円(年150万円)を最長3年間 |
| 申請先 | 市町村(就農サポート体制を整備している自治体) |
| 条件 | ・農業で生計を立てる計画を立てている ・農地を確保している ・世帯所得600万円以下 など |
活用の例
参考:農林水産省
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地方自治体でも、地域の実情に合わせた独自の農業補助金・助成金制度が多数あります。国の制度に比べて、個人農家や高齢農家でも申請しやすいのが特徴です。
以下では、2026年度も継続が見込まれる3つの代表的な事例を紹介します。
お住まいの自治他の農業に使える補助金は、以下のサイトから検索できます!
農業に活用できる自治体の補助金を探す!
環境にやさしい農業への転換を支援する制度です。
化学肥料や農薬を減らすための資材・設備導入、脱炭素につながる取り組みを行う個人・団体が対象です。大型機械の購入補助ではなく、比較的小規模な設備・資材が主な対象になります。
| 項目 | 内容 | 備考 |
| 対象 | 市内で農業を営む個人・法人 | グリーン農業実践者・新規導入者を優先 |
| 補助率・上限額 | 1/2以内・上限30万円 | 資機材・消耗品・工事費などが対象 |
| 特徴 | 環境配慮型農業の普及促進 | 化学肥料削減・堆肥利用などを支援 |
【活用の例】
親の農業経営を引き継ぐ就農者を対象とした支援金制度です。
地域の後継者不足対策として設けられており、親元就農後に自らの経営体を確立する若手農家を支援します。所得要件や経営計画の提出が必要で、購入補助ではなく支援金交付型の制度です。
| 項目 | 内容 | 備考 |
| 対象 | 市内の親元就農者(55歳以下) | 認定新規就農者・経営体を継ぐ者 |
| 補助率・上限額 | 1人あたり50万円(1回限り) | 経営開始後3年間の所得要件あり |
| 特徴 | 家業承継型の就農を重点支援 | 初期投資・生活安定をサポート |
【活用の例】
地域農業を支える担い手を確保し、経営を強化する制度です。認定農業者や新規就農者が機械・施設を導入する場合に、経費の1/3以内・上限100万円を補助します。地元JAとの連携が強く、若手農家の定着支援に活用されています。
| 項目 | 内容 | 備考 |
| 対象 | 市内の認定農業者・新規就農者 | 家族経営協定締結者に加点あり |
| 補助率・上限額 | 1/3以内・上限100万円 | 経営改善・販路拡大に資する機械が対象 |
| 特徴 | 若手農業者の経営力向上を支援 | 地域単位での共同利用も可 |
【活用の例】
熊の駆除費用に使える補助金は?
スマート農業導入に使える補助金は?
農業融資とは?5つの制度と申請方法を完全解説
みんなの補助金コンシェルジュでは、農家の方が活用できる補助金をご紹介しています!「ビニールハウスを取り付けたい」「農薬をまくドローンを購入したい」など検討されている方は、ぜひお話お聞かせください。お申し込みは以下のフォームよりどうぞ!

農業に活用できる補助金には国と自治体のものがあります。 トラクターなどの大型設備導入やスマート農業のような大規模投資には国の補助金を、家族経営の引き継ぎや環境配慮型農業など地域密着の取組みには自治体の補助金を活用すると良いでしょう。農業の補助金は複雑な要件があることがありますので専門家にご相談ください。