補助金を受けたらどうする?圧縮記帳で税金を減らす方法を分かりやすく解説!

今回のコラムでは補助金を受給した場合に節税ができる圧縮記帳の基本的な仕組みやメリット・デメリット、具体的な計算方法までをくわしく解説しています!補助金をこれから申請する方や受給した方はぜひ圧縮記帳をご活用ください。
梅沢 博香

更新日:

補助金を受けたらどうする?圧縮記帳で税金を減らす方法を分かりやすく解説!

この記事を監修した専門家

監修専門家: 井上卓也行政書士

井上 卓也

代表・行政書士

補助金・助成金を専門とする行政書士として、補助金申請サポート実績300社以上を有する。

慶應義塾大学卒業後、大手製薬会社での経験を積んだ後、栃木県・兵庫県に行政書士事務所を開業。 『事業再構築補助金』、『ものづくり補助金』、『IT導入補助金』をはじめ、地方自治体を含む幅広いジャンルの補助金に精通。 リモートを中心に全国の事業者の補助金申請サポートを行っている。

補助金の圧縮記帳とは?

「圧縮記帳(あっしゅくきちょう)」は、 補助金をもらっても、すぐに税金を支払わなくても済むようにできる制度のことです。

たとえば、補助金を使って新しい機械やシステムを買ったとします。このとき、補助金は会社にとって「収入」とみなされ、原則として税金がかかります。
しかし、「国から支援されて設備を導入しただけなのに、税金がかかるのはちょっと…」という声もありますよね。
ここで登場するのが圧縮記帳です。

圧縮記帳のイメージ

補助金で買った設備の金額を帳簿上で“少なめに見せる”ことで、補助金分にかかる税金を減らせる方法です。
たとえば、

  • 1,000万円の機械を買った(うち500万円は補助金)
  • 機械の価値を500万円減らす(=圧縮記帳)
  • 補助金で得た収入500万円は課税されない(納税は将来に繰り延べ)

つまり、圧縮記帳は「税金を後回しにできる仕組み」です。
ただし、帳簿上の金額を減らすので、将来の減価償却費が減って、あとからの節税効果は小さくなる点に注意しましょう。

圧縮記帳の基本的な仕組み

圧縮記帳とは、固定資産を補助金などで取得した際、その補助金相当額を経費として処理できる制度です。
本来、補助金は収益として計上されますが、それに対して支出した資産は減価償却によって数年かけて経費化されるため、一時的に利益が膨らみ、税負担が増えることになります。
そこで、補助金で取得した資産に限り、特別にその分を一括で経費処理するのが「圧縮記帳」です。これにより、課税所得を抑え、税負担を軽減できます。

圧縮記帳の目的:補助金への課税負担を調整するため

補助金は原則として「益金(収益)」に該当します。たとえ資産購入のために使った補助金であっても、会計上は利益として扱われ、法人税や所得税の課税対象になります。
しかし、補助金を使って取得した資産は、減価償却によって数年にわたって費用化されるため、補助金と費用の時期がズレるという問題が生じます。
このズレを解消し、「補助金をもらったがために税負担が増える」という状況を防ぐために、圧縮記帳が認められています。

項目圧縮記帳しない場合圧縮記帳した場合
補助金益金として課税対象益金として課税される
固定資産取得価額を満額で資産計上補助金相当額を差し引いて計上
課税所得一時的に増加圧縮されて抑えられる
税負担増える軽減できる

圧縮記帳の具体的な仕訳方法

圧縮記帳の具体的な仕訳方法について具体例を用いて分かりやすく解説します。
事例:
500万円の機械(耐用年数8年)を手元資金200万円と補助金300万円で購入する場合

圧縮記帳を行わないで会計処理をする場合

以下は、500万円の機械(耐用年数8年)を手元資金200万円と補助金300万円で購入した場合の仕訳例です。圧縮記帳を行わないケースを見てみましょう。
【補助金の受取り】

  • 現預金:300万円/雑収入:300万円

【機械の購入】

  • 機械:500万円/現預金:500万円

【決算時の減価償却費の計上(定率法償却率0.200)】

  • 減価償却費:100万円/機械:100万円
  • ※500万円 × 0.200 = 100万円

【結果】

  • 雑収入(補助金)300万円 − 減価償却費100万円 = 利益200万円
  • 支払う法人税(税率40%と仮定):200万円 × 40% = 80万円
  • 実質受取額:補助金300万円 − 税金80万円 = 220万円

このように、圧縮記帳を行わない場合、補助金の一部が課税対象となり、税金が発生します。その結果、実際に手元に残る金額は補助金額より減少します。

圧縮記帳を活用して会計処理をする場合

500万円の機械を、補助金300万円と自己資金200万円で購入した場合の仕訳例を見てみましょう。ここでは、圧縮記帳(直接減額方式)を適用した処理を行います。
【補助金の受取り】

  • 現預金:300万円/雑収入:300万円

【機械の購入】

  • 機械:500万円/現預金:500万円

【圧縮損の計上(直接減額方式)】

  • 圧縮損:300万円/機械:300万円

【決算時の減価償却費の計上(定率法償却率0.200)】

  • 減価償却費:40万円/機械:40万円
  • ※(500万円 − 300万円)× 0.2 = 40万円

【結果】

  • 雑収入:300万円 − 圧縮損:300万円 = 利益ゼロ
  • 減価償却費があるため、帳簿上は40万円の赤字→ 法人税は発生しません

このように、圧縮記帳を行うことで補助金による利益を相殺でき、当期の課税を回避できます。結果として、補助金を全額有効に活用できるのです。

圧縮記帳なし/ありの比較

以下の前提で圧縮記帳なし/ありを比較します。

  • 機械の取得金額:500万円
  • 補助金額:300万円
  • 自己資金:200万円
  • 償却方法:定率法(償却率20%)
  • 法人税率:40%と仮定

圧縮記帳の有無による会計処理の比較表

項目圧縮記帳なし圧縮記帳あり(直接減額方式)
機械の取得価額500万円500万円(圧縮後200万円)
補助金の会計処理雑収入300万円雑収入300万円+圧縮損300万円
圧縮損の計上なしあり(300万円)
減価償却費(初年度)500万円 × 20% = 100万円(500万円 − 300万円) × 20% = 40万円
会計上の利益300万円 − 100万円 = 200万円300万円 − 300万円 − 40万円 = ▲40万円(赤字)
法人税額(40%想定)200万円 × 40% = 80万円課税なし
補助金の実質手取額300万円 − 80万円 = 220万円300万円 − 0円 = 300万円

ポイントまとめ

  • 圧縮記帳を行わないと、補助金が課税対象となり最大で40%の税金が発生します。
  • 圧縮記帳を活用すると、当期の税負担を抑え、補助金を全額活用可能になります。

ただし、圧縮記帳で取得価額を減額するため、将来的な売却時の利益が増える(課税増加)リスクもあります。

圧縮記帳の対象になる補助金は?

圧縮記帳が使えるのは国や自治体などが交付する、特定の補助金に限られています。
主な対象例は以下の通りです。

  • IT導入補助金
  • ものづくり補助金
  • 事業再構築補助金
  • 小規模事業者持続化補助金 など

これらは「国庫補助金等」として法律に明記されているため、圧縮記帳の対象になります。
※自分が受けた補助金が対象かどうかは、必ず事務局や専門家に確認してください。

ものづくり補助金でも圧縮記帳が使える!受給したときの仕訳方法も解説

補助金の圧縮記帳を行うタイミング

補助金の支給と資産の取得タイミングによって、圧縮記帳を行う時期がどのように変わるのかを、以下3つの典型的なパターンに分けてわかりやすく説明します。

  1. 補助金を受け取った年に資産を購入するケース
  2. 資産を先に購入し、補助金をあとから受け取るケース
  3. 補助金を先に受け取り、資産は翌年度に購入するケース

1.補助金を受け取った年に資産を購入するケース(もっとも基本的)

状況:補助金を受け取り、その年のうちに機械や設備を購入する。
ポイント:

  • 補助金が「返還不要で確定した年度」に固定資産を購入すれば、その年度内に圧縮記帳を行えます。
  • 補助金で取得した資産のうち、補助金に相当する金額を損金(経費)として処理できます。

例:
2025年に補助金300万円を受け取り、同年中に500万円の機械を購入した場合 → 2025年度に圧縮記帳を行います。

2.資産を先に購入し、補助金をあとから受け取るケース

状況:実績報告などを経て補助金の交付が確定するタイプ(例:ものづくり補助金など)
ポイント:

  • 先に資産を購入した場合でも、補助金の交付が確定した年度に圧縮記帳を行うことが可能です。
  • 補助金が確定する前の会計期間では圧縮記帳できません。

例:
2025年に機械を先に購入し、2026年に補助金の交付決定が通知された場合 → 2026年度に圧縮記帳を行います。

3.補助金を先に受け取り、資産は翌年度に購入するケース

状況:補助金は先に支給されたが、設備の納入が遅れて翌年度に資産を取得する場合
ポイント:

  • 補助金を受け取った年度にはまだ使っていないため、その時点では仮勘定(前受金や預り金)として一時的に処理します。
  • 実際に固定資産を取得した年度に、補助金を収益化し、同時に圧縮記帳を行います。

例:
2025年に補助金を先にもらい、2026年に機械を購入した場合 → 補助金は2025年にはまだ雑収入にせず、2026年度に収益化&圧縮記帳を行います。

圧縮記帳を適用できるのは、補助金が「特定の固定資産の取得」にあてられたことが明確である場合に限られます。
例えば、販促費や人件費などに使った補助金については、圧縮記帳の対象とはなりませんので注意しましょう。

補助金の圧縮記帳が使える条件

圧縮記帳を使うためには、いくつかの条件があります。

  • 補助金の「返還不要」が確定していること(交付決定などで確定)
  • 補助金で取得した設備などが、ちゃんと目的通りに導入されていること
  • 次のどちらかの方法で帳簿処理をしていること

資産の金額を直接減らす(直接減額方式)
積立金として計上する(積立金方式)

  • 確定申告書に「圧縮記帳をしましたよ」と書類を添付していること
  • 当初の確定申告でちゃんと申請しておくこと


後から「やっぱり圧縮記帳したい」と思っても、原則として認められません。
圧縮記帳は、法人・個人事業主を問わず、一定の要件を満たすすべての事業者が利用可能です。
特に、以下のようなケースでは積極的に検討すべきです。

  • 事業再構築補助金で店舗を新設・改修した場合
  • 小規模事業者持続化補助金で機械を導入した場合
  • ものづくり補助金などを活用して設備を導入した場合

補助金の種類に関係なく、「固定資産を取得し、かつ補助金との関連性が明確」であれば圧縮記帳の対象になります。

補助金の有効活用には「圧縮記帳の検討」が必須

補助金は事業の発展にとって大きな追い風になりますが、税金の扱いを誤ると、せっかくの資金が思わぬ税負担によって目減りしてしまうこともあります。
圧縮記帳を活用することで、補助金を手元にしっかり残すことができ、資金効率の最大化につながります。
次章では、補助金と圧縮記帳の具体的な関係について詳しく解説します。

補助金の圧縮記帳の方法は2つ

圧縮記帳には、会計処理の方法として「直接減額方式」と「積立金方式」の2種類があります。
どちらを選ぶかによって、仕訳の方法や税務申告での対応が異なります。
それぞれの特徴と使い分けを見ていきましょう。

直接減額方式(実務でよく使われるシンプルな方法)

直接減額方式とは、補助金相当額を取得した固定資産の金額から直接差し引いて計上する方法です。
この方式では、会計帳簿に記載される資産の金額が最初から圧縮後の金額になるため、処理が簡単で実務向きです。
【例】

  • 購入金額:300万円
  • 補助金:100万円
  • 圧縮後の計上額:200万円(この額をもとに減価償却)

【仕訳例】
(借)工具器具備品……200万円
(借)補助金収入……100万円
(貸)現金……300万円
【ポイント】

  • 会計上も税務上も処理が一致し、調整が少ない
  • 補助金の会計処理と同時に対応できるためスムーズ

積立金方式(会計と税務を分けて処理する方法)

積立金方式は、固定資産の取得額を全額そのまま資産計上し、別途「圧縮積立金」として税務上の処理を行う方法です。
会計上は正規の取得価額で記帳されるため、財務諸表上の見た目がよく、融資や外部評価を重視する企業に適しています。
【例】

  • 購入金額:300万円
  • 補助金:100万円
  • 会計上の計上額:300万円
  • 税務上の処理:100万円分の圧縮積立金を計上し、後に取り崩す

【仕訳例(税務調整)】

  • 当期:圧縮積立金を計上
  • 将来:積立金を取り崩して益金に戻す

【ポイント】

  • 会計上は全額資産計上するため、貸借対照表の総資産が増える
  • 税務申告時には「別表十六」などの添付が必要で、処理は複雑

直接減額方式と積立金方式の比較

項目直接減額方式積立金方式
会計処理の簡単さ◎(簡単)△(複雑)
財務諸表の見栄え△(資産が少なく見える)◎(取得価額を正確に反映)
税務調整の必要性ほぼなしあり(積立・取り崩し処理が必要)
税務申告の負担軽い別表十六などの作成が必要
実務上の使われやすさ中小企業でよく使われる大企業や会計重視の企業に向く

処理がシンプルな「直接減額方式」がおすすめ!

中小企業や個人事業主で、補助金を受けて設備を導入した場合には、処理がシンプルな「直接減額方式」がおすすめです。
一方で、会計上の資産額や信用力を重視したい企業では、「積立金方式」が適している場合もあります。
どちらを選ぶにしても、補助金を受け取った事業年度内に処理を行うことが大前提です。
「後からやろう」と思っていると適用できなくなるため、補助金受給時点で早めに検討することが重要です。

補助金が国・地方公共団体などから交付されていること

圧縮記帳の対象となるのは、国や地方自治体などの公的機関からの補助金や助成金です。
一部の民間助成金や業界団体からの給付金などは、対象外となる場合があります。

対象例

  • 経済産業省や中小企業庁の補助金(例:ものづくり補助金、事業再構築補助金)
  • 地方自治体の設備投資支援金、創業助成金など

圧縮記帳の適用チェックリスト

要件内容備考
資産の性質固定資産であること消耗品や経費は不可
補助金との関係補助金がどの資産に使われたか明確であること書類による証明が必要
会計処理の時期補助金交付年度の決算で処理すること後からの適用は不可
補助金の種類国・自治体等の公的補助金であること民間助成は原則対象外

要件を満たさないと適用できないので注意

仮に補助金で設備を購入していても、証明資料が不足していたり、会計処理が遅れたりすると圧縮記帳が認められない場合があります。
その場合、補助金は全額益金となり、税金が重くなる可能性があるため、申請の段階から「圧縮記帳を前提にした準備」をしておくことが大切です。

圧縮記帳のメリット・注意点

圧縮記帳は、補助金を活用して固定資産を取得した際の税負担を軽減できる、非常に有効な制度です。
一方で、適用にあたっては注意すべきポイントもあるため、メリットとデメリットの両面から理解しておくことが重要です。

圧縮記帳の主なメリット

圧縮記帳の主なメリットは以下3点です。

  1. 資金効率の向上
  2. 補助金による税負担を軽減できる
  3. キャッシュフローの改善につながる

1. 資金効率の向上

設備投資によって本来は数年かけて回収される減価償却費を、圧縮記帳により当期に一部前倒しで損金計上できるため、資金の回収が早まったような効果が期待できます。

2. 補助金による税負担を軽減できる

補助金は原則として益金(収益)として課税されますが、圧縮記帳を活用すれば、その課税額を圧縮=納税額を減らすことが可能です。
例:
100万円の補助金を受けて固定資産を取得した場合

  • 圧縮記帳により100万円分を当期の損金に算入
  • 結果として、法人税・所得税の負担が軽くなる

3. キャッシュフローの改善につながる

税金として現金が流出するのを抑えられるため、手元資金を守ることができ、資金繰りが安定します。
補助金は本来「資金の援助」であるため、それを有効活用するためにも圧縮記帳は欠かせません。

圧縮記帳のデメリット

圧縮記帳の主なデメリットは以下4点です。

  1. 翌年度以降の減価償却費が減る
  2. 要件を満たさないと適用できない
  3. 積立金方式は税務申告がやや複雑
  4. 会計上の利益が減る=信用面への影響も

1. 翌年度以降の減価償却費が減る

圧縮記帳を行うと、固定資産の取得価額が減るため、その後の減価償却費も少なくなります。
一時的には節税になりますが、将来的には経費として計上できる額が減少するため、長期的な税負担をどう考えるかもポイントです。

2. 要件を満たさないと適用できない

前章で述べたように、圧縮記帳には厳密な適用要件があります。
処理のタイミングや証拠書類の不備により、税務署から否認されるリスクもあるため、申告前のチェックが欠かせません。

3. 積立金方式は税務申告がやや複雑

積立金方式を選んだ場合、別表の作成や税務上の取り崩し処理など、専門的な知識が必要です。
税理士などの専門家と連携して進めるのが安心です。

4. 会計上の利益が減る=信用面への影響も

圧縮記帳によって損金が増えると、会計上の当期利益が減少することになります。
その結果、金融機関の融資審査や、株主への報告で不利に働く可能性があります。

圧縮記帳は正しく使えば非常に効果的な節税手段ですが、その効果と影響をバランスよく見極めることが大切です。
次章では、実際にどれだけ税額が変わるのか、圧縮記帳の具体的な効果を数値で比較しながらご紹介します。

補助金に圧縮記帳を活用したときの具体事例

補助金を活用して設備を導入した場合、圧縮記帳をするかしないかで、税額に大きな差が生まれます。
以下のケースで比較してみましょう。

事例:補助金を使って機械を導入した場合

項目内容
機械の購入額300万円
補助金の額100万円
自己資金200万円
減価償却定額法(耐用年数5年)
法人税率(概算)30%

圧縮記帳をしない場合

  • 補助金100万円は「収入」として計上
  • 機械の減価償却費:300万円 ÷ 5年 = 60万円
  • 課税対象の利益:100万円 − 60万円 = 40万円
  • 法人税:40万円 × 30% = 12万円

12万円の法人税が発生します。

圧縮記帳をした場合(直接減額方式)

  • 補助金分100万円を機械の取得価額から差し引いて200万円で計上
  • 減価償却費:200万円 ÷ 5年 = 40万円
  • 補助金は収入計上せず、圧縮損として相殺

➤利益が出ないため、法人税は0円になります。

圧縮記帳の有無による比較

項目圧縮記帳なし圧縮記帳あり
補助金収入あり(100万円)なし
減価償却費(当期)60万円40万円
課税所得40万円0円
法人税(概算)12万円0円

補助金を受け取ると、その分だけ利益が増え、税金が発生します。
圧縮記帳を使えば、その税金を抑えられ、補助金をフル活用できます。
中小企業にとって、限られた資金をいかに守るかが経営のカギです。補助金を有効に使うには、圧縮記帳の活用をぜひ検討しましょう。

税務署への対応・申告方法

圧縮記帳は、単に会計ソフトで仕訳を入力するだけで完了するものではありません。
税務申告時に必要な書類や届出があるため、制度を正しく理解し、適切な対応を取ることが重要です。
この章では、圧縮記帳を行う際の申告方法と注意点を解説します。
圧縮記帳の処理は、決算書類と一緒に税務署に提出する確定申告書の中で行う必要があります。
処理方法に応じて、添付が必要な書類も変わってきます。

申告方法1:直接減額方式の場合

直接減額方式を用いた場合は、取得した固定資産の取得価額から補助金相当額を差し引いて会計処理します。
この方式では、会計上も税務上も同じ金額になるため、特別な別表や届出は不要です。
【対応ポイント】

  • 固定資産台帳に圧縮後の取得価額を記載
  • 決算書(減価償却明細)にも圧縮後の金額で表示
  • 会計ソフトでもスムーズに処理可能なケースが多い

申告方法2:積立金方式の場合

積立金方式は、固定資産を全額で資産計上した上で、税務上だけ圧縮積立金として損金算入する方法です。
この方法では、申告時に税務調整と添付書類が必要になります。
【必要な対応】

  • 「別表十六(圧縮記帳に関する明細書)」の提出
  • 「圧縮記帳に関する明細書(適用調書)」の作成
  • 将来、積立金を取り崩す際にも再申告が必要

【注意点】

  • 会計処理と税務処理が異なるため、帳簿と申告書の整合性に注意が必要
  • 会計ソフトによっては対応していない場合もあるため、税理士と相談しながら進めるのが安心です

ちなみに、電子申告(e-Tax)にも対応しています。
ただし、積立金方式を採用する場合は、別表の添付漏れや記載ミスがあると圧縮記帳が認められない可能性があります。
電子申告を利用する際も、提出書類のチェックを慎重に行いましょう。
現在、多くの会計ソフトが圧縮記帳に対応していますが、自動仕訳の精度や対応方式には差があります。
以下のような点を事前に確認しておくと安心です。
【確認ポイント】

  • 直接減額方式/積立金方式のどちらに対応しているか
  • 固定資産台帳に圧縮後の金額を反映できるか
  • 税務申告書の出力に対応しているか(別表十六の作成可否)

税理士に相談すべき理由

補助金を受け取った際に活用できる「圧縮記帳」は、うまく使えば税金の負担を大きく軽減できる重要な制度です。

一方で、会計処理や申告のルールには細かな決まりがあり、適用条件を満たさなかったり処理ミスがあったりすると、税務上のメリットが得られないリスクもあります。
だからこそ、補助金を受け取った段階で、早めに税理士へ相談することが非常に重要です。

税理士に相談することで得られるメリット

1. 制度の適用可否を正確に判断できる

補助金の種類や使い道によって、圧縮記帳の対象となるかどうかは異なります。
税理士であれば、補助金と資産の関連性や時期の確認などを踏まえ、適用の可否を正確に判断できます。

2. 複雑な処理や申告書の作成を代行してもらえる

積立金方式の場合には、別表の作成や将来の取り崩し処理などが必要になります。
専門知識が求められる分野ですが、税理士に依頼すれば正確かつスムーズに処理してもらえるため安心です。

3. 会計ソフトとの連携や処理ミスの防止につながる

会計ソフトを使って自社で処理する場合でも、税理士が仕訳のチェックや資産台帳との整合性確認を行うことでミスを未然に防ぐことができます。
税務調査対策としても非常に有効です。

補助金に圧縮記帳を活用する際によくある質問

Q1. 補助金を受け取った場合、圧縮記帳は認められますか?

A. はい、一定の条件を満たせば認められます。
補助金で取得した固定資産については、「圧縮記帳」という処理が認められており、補助金相当額を資産の取得原価から控除して帳簿に計上できます。これにより、課税所得が減り、法人税などの納税額を軽減できる可能性があります。ただし、適用には税法上の要件があるため、実際の処理は税理士に相談しましょう。

Q2. 圧縮記帳をしなくても問題ないケースはありますか?

A. はい、圧縮記帳は義務ではなく選択制です。
補助金を受け取った場合でも、圧縮記帳を行わず、補助金を「雑収入」などとして益金計上することも可能です。ただし、この場合は補助金分に税金がかかるため、税負担が重くなる可能性があります。圧縮記帳をした方が有利になるかは、資産の内容や企業の利益状況によって異なります。

Q3. 圧縮記帳とは分かりやすく言うとどんなものですか?

A. 税金の支払いを一部先送りできる“節税テクニック”です。
たとえば、補助金で300万円の設備を購入した場合、圧縮記帳を使えば、その300万円分を経費として早めに処理でき、当期の利益が減るため、納める税金も少なくなります。帳簿上では「取得価額を補助金分だけ減らして記帳」する形になり、将来的な減価償却費も圧縮されます。専門的な判断が必要なため、申請前に専門家と相談しておくと安心です。

Q4. 「チャレンジ補助金」も圧縮記帳の対象になりますか?

A. 一般的には圧縮記帳の対象とはなりません。
ご質問の「チャレンジ補助金」は、株式会社エムデザインが提供する企業支援プログラムで、Webサイト制作などのサービス費用の一部を補助する制度です。
対象となるのはサービス利用料であり、固定資産の取得には該当しないため、原則として圧縮記帳の対象とはなりません。
参考:チャレンジ補助金

圧縮記帳の対象になるかどうかは、「補助金で取得したものが固定資産に該当するかどうか」によって判断されます。機械装置や建物、車両などが該当しやすく、広告費や外注費、サービス利用料は原則対象外です。

まとめ

補助金は会社にとって大きなチャンスですが、税金がかかることを知らないと損をすることもあります。
圧縮記帳をうまく使えば、すぐに税金を支払わずに済むため、資金繰りにも余裕が生まれます。
とはいえ、手続きはちょっと複雑なので、「補助金をもらった」「固定資産を買った」そんなときは、税理士など専門家に一度相談してみてください。

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