【2024年最新】B型肝炎給付金とは?対象者や必要書類など解説!

B型肝炎給付金とは、感染者やその母子感染者に対して支給される補償金です。 本コラムでは、その歴史と対象者、支給金額、手続き方法などについて解説します。
中本 明日香

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更新日:

B型肝炎給付金とは
このコラムでわかること
・B型肝炎給付金とは?
・経緯
・対象者
・必要書類
・手続きから受給までの流れ

「B型肝炎給付金」とは

B型肝炎給付金は、過去の集団予防接種等によりB型肝炎ウイルスに感染した方々に対して支給される補償金です。この補償金は、感染者およびその母子感染者に支給され、感染の原因となった集団予防接種等の事実が認められた場合に支給されます。感染者の病態や損害の程度に応じて金額が定められ、裁判所の認定手続きを経て支給されます。
参考:厚生労働省「B型肝炎起訴について」

なぜこの給付金が始まったのか(経緯)

国内のB型肝炎( ウイルス性肝炎)の持続感染者は、110~140万人存在すると推計されています。 このうち、昭和23年から昭和63年までの間に受けた集団予防接種等(予防接種またはツベルクリン反応検査)の際に、注射器(注射針または注射筒)が連続使用されたことが原因でB型肝炎ウイルスに持続感染した方は最大で40万人以上とされています 。

そして、集団予防接種等によりB型肝炎ウイルスに感染した方々が、国に対して損害賠償を求める訴訟を起こしました。
裁判所の仲介の下で和解協議が行われ、基本合意書や覚書が締結され、その結果、特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給が行われることとなりました

「B型肝炎給付金」の対象者

対象者は、昭和23年から63年までの間に集団予防接種等でB型肝炎に感染した一次感染者、およびその二次感染者(母子感染者)
要件はそれぞれ以下のとおりです。

一次感染者であることを証明するための要件
集団予防接種等により、直接、B型肝炎ウイルスに持続感染した方(一次感染者)の 認定については、以下の要件をすべて満たすことが必要です。
①⺟⼦感染でないこと
②B型肝炎ウイルスに持続感染していること
③満7歳になるまでに集団予防接種等を受けていること
④集団予防接種等における注射器の連続使用があったこと
⑤その他集団予防接種等以外の感染原因がないこと


二次感染者であることを証明するための要件
⼀次感染者である⺟親からの⺟⼦感染等によりB型肝炎ウイルスに持続感染した方(二次感染者)の認定については、以下の要件をすべて満たすことが必要です。
① ⺟⼦感染であること
② 原告がB型肝炎ウイルスに持続感染していること
③ 原告の⺟親が上記の⼀次感染者の要件をすべて満たすこと


「B型肝炎給付金」がもらえない人は?対象外の人

除斥期間が経過した方、および特定の病態に該当しない方

「B型肝炎給付金」の支給金額はいくら?

以下の表のように、 病態に応じて50万~3600万円等が支給されます。

病態等金額
死亡・肝がん・肝硬変(重度)3,600万円
20年の除斥期間が経過した死亡・肝がん・肝硬変(重度)900万円
肝硬変(軽度)2,500万円
20年の除斥期間が経過した肝硬変(軽度) 
(1)現在、肝硬変(軽度)にり患している方 など600万円
(2)(1)以外の方300万円
慢性B型肝炎1,250万円
20年の除斥期間が経過した慢性B型肝炎 
(1)現在、慢性B型肝炎にり患している方 など300万円
(2)(1)以外の方150万円
無症候性キャリア600万円
20年の除斥期間が経過した無症候性キャリア
(特定無症候性持続感染者)
50万円


このほか、上記給付金に加え、訴訟手当金として、以下も支給されます。

  • 訴訟等に係る弁護士費用(上記給付金額の4%に相当する額)、
  • 特定B型肝炎ウイルス感染者であることを確認するための検査費用


また、特定無症候性持続感染者に対しては、以下も支給されます。

  • 慢性肝炎等の発症を確認するための定期検査費
  • 母子感染防止のための医療費
  • 世帯内感染防止のための医療費
  • 定期検査手当

「B型肝炎給付金」を受けるための手続き方法・流れ

「B型肝炎給付金」を受けるためには、まず、国を相手とした「国家賠償請求起訴」を行い、国との間で和解が成立することで支給が行われます。
そのための手続きの流れとしては、以下①~⑤の順を踏む必要があります。

①証拠資料の収集
救済を求める場合に、救済要件を満たしていることおよび病態を証明するため、医療機関から必要な証拠を収集します。
(必要な証拠資料(書類)については後ほどご紹介します)


②起訴提起
国を相手とした「B型肝起訴」を提起します。


③和解協議
国との間で和解協議を行います。(この際、追加で必要な証拠を提出することがあります)


④和解成立
要件を満たしていることが証拠で確認できた方は、国との間で和解調書を取り交わします。


⑤請求書を提出
和解が成立したら、社会保険診療報酬支払基金に、請求書を提出します。


⑥給付金の支払い
請求書を提出後、社会保険診療報酬支払基金より、給付金の支払いが行われます。


「B型肝炎給付金」を受けるための必要書類

上記で説明したとおり、B型肝炎給付金の対象者となる一次感染者、二次感染者には要件があります。
その要件ごとに証明するための書類が必要となります。具体的な必要生類については以下をご覧ください。

【一次感染者であることを証明するための必要書類】
※青字部分が必要書類
要件①⺟⼦感染でないこと
■必要書類
1.⺟親のHBs抗原が陰性かつHBc抗体が陰性(または低⼒価陽性)の検査結果
※ ⺟親が死亡している場合は、⺟親が80歳未満の時点のHBs抗原陰性の検査結果のみで可。80歳以上の時点の検査の場合は、HBs抗原の陰性化(持続感染しているが、ウイルス量が減少して検出されなくなること)が無視できない程度に発⽣することが知られているため、HBc抗体も併せて確認することが必要です。
2.年⻑のきょうだいのうち⼀⼈でも持続感染者でない者がいること(⺟親が死亡している場合に限る)
3. その他、医学的知⾒を踏まえた個別判断により、⺟⼦感染によるものではないことが認められる場合には、⺟⼦感染でないことを推認します。
〈例〉原告が双⼦の兄であり、⺟親は死亡しているが、双⼦の弟が未感染である場合

要件②B型肝炎ウイルスに持続感染していること
■必要書類
以下の1.または2.のいずれかの場合であること
1. 6か月以上の間隔をあけた連続した2時点における、以下のいずれかの検査結果
・HBs抗原陽性 ・HBV-DNA陽性 ・HBe抗原陽性
2.HBc抗体陽性(⾼⼒価)の検査結果

要件③満7歳になるまでに集団予防接種等を受けていること
■必要書類
以下の1.から3.のいずれか
1.⺟⼦健康⼿帳
2.予防接種台帳(市町村が保存している場合) ※ 厚⽣労働省ホームページに、各市町村の保存状況の調査結果を公表しています。
3. ⺟⼦健康⼿帳または予防接種台帳を提出できない場合は、
・その事情を説明した陳述書(親、本人等が作成)
・接種痕が確認できる旨の医師の意⾒書(医療機関において作成)
・住⺠票または⼾籍の附票(市区町村において発⾏)
※ 該当時期の予防接種台帳を保存している市区町村に居住歴がある場合で、予防接種 台帳に記載がない場合は、その証明書(当該市区町村において発⾏)も必要です。

要件④集団予防接種等における注射器の連続使用があったこと
■必要書類(要件③の必要書類を使用)
要件③の証明資料として、1.「⺟⼦健康⼿帳」または2.「予防接種台帳」を使⽤する場合
⺟⼦健康⼿帳または予防接種台帳の記載により、昭和23年7⽉1⽇から昭和63年1⽉27日までの間に集団予防接種等を受けたことを確認
要件③の証明資料として、3.「陳述書」および「接種痕意⾒書」等を使⽤する場合
⼾籍等により、昭和16年7⽉2⽇から昭和63年1⽉27日までの間に出生していることを確認します。
(その場合、満7歳になるまでの間に集団予防接種等を受けたことがあると推認します)

要件⑤その他集団予防接種等以外の感染原因がないこと
■必要書類
1. カルテ等の医療記録 ※ 集団予防接種等とは異なる原因が存在する疑いがないことを確認するために必要
2. 父親がB型肝炎ウイルスの持続感染者である場合
→ ⽗親と原告のB型肝炎ウイルスの塩基配列を⽐較した⾎液検査(HBV分子系統解 析検査)結果
※ 父親からの感染でないことを証明するために必要
3. 原告のB型肝炎ウイルスがジェノタイプAeではないことを証明する検査結果
※ 平成7年以前に持続感染が判明(初診)した場合には不要
※ ジェノタイプ検査は、成人期の感染ではないことを証明するために必要


【二次感染者であることを証明するための必要書類】
※青字部分が必要書類
要件① ⺟⼦感染であること
■必要書類
以下の1.または2.の資料
1.原告が出⽣直後に既にB型肝炎ウイルスに持続感染していたことを⽰す資料
2.原告と⺟親のB型肝炎ウイルスの塩基配列を⽐較した⾎液検査(HBV分子系統解析検査)結果

要件② 原告がB型肝炎ウイルスに持続感染していること
■必要書類
原告本人がB型肝炎ウイルスに持続感染していること(確認方法は一次感染者(と同様)を証明する資料

要件③ 原告の⺟親が⼀次感染者の要件をすべて満たすこと
■必要書類
原告の⺟親が、⼀次感染者として認定される要件(①〜⑤)を全て満たしてい ることを証明する資料


補足:B型肝炎はどうやって発覚する?

B型肝炎は、一般的に血液を介して感染する病気です。
感染した人はしばしば症状がなく、自覚症状が出ることも少ないため、検査を受けないと気づかないことがあります
一般的に、たとえば以下のような場面で、「B型肝炎」に感染していることが発覚します。

  • 妊婦健診
  • 献血を行った際
  • 人間ドックなどの検査
  • 他の病気や怪我での入院や手術があった際
  • B型肝炎ウイルスに関連する副作用がある薬を服用する際


B型肝炎は、血液検査でHBs抗原やHBc抗体の検出によって診断されます。
また、肝機能検査や肝臓の画像検査も行われることがあります。
医師の指示により、定期的な検査を受けることが重要です。

まとめ

B型肝炎給付金は、昭和23年から63年までの集団予防接種等により感染した方々への補償措置です。
感染者やその家族に寄り添いながら、公平かつ迅速に支給されることが、被害者の健康と尊厳を守る上で不可欠です。

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