履歴事項全部証明書のpdfデータの使い道は?pdfの「効力」に注意

履歴事項全部証明書のpdfデータは、偽造のリスク・認証文、登記官の印がないので証明書としての効力はありません。 今回は、履歴事項全部証明書のpdfデータはどんな場面で使うのかを中心に解説します。
井上 雅也

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履歴事項全部証明書 pdf

この記事を監修した専門家

監修専門家: 井上卓也行政書士

井上 卓也

代表・行政書士

補助金・助成金を専門とする行政書士として、補助金申請サポート実績300社以上を有する。

慶應義塾大学卒業後、大手製薬会社での経験を積んだ後、栃木県・兵庫県に行政書士事務所を開業。 『事業再構築補助金』、『ものづくり補助金』、『IT導入補助金』をはじめ、地方自治体を含む幅広いジャンルの補助金に精通。 リモートを中心に全国の事業者の補助金申請サポートを行っている。

履歴事項全部証明書のpdfデータが使える場面

履歴事項全部証明書のpdfデータは、法人の登記事項を確認するための参考資料として利用できるが、証明書としての法的効力はありません。

正式な手続きでは紙の原本が必要となるため、pdfデータのみで完結する場面は限られます。

pdfデータが役立つのは、登記事項の内容を素早く確認したい場合や、社内で情報を共有する場面などです。

たとえば、企業間で取引を検討する際に相手企業の基本情報を把握するために活用できます。

また、法務局で証明書を取得する前に内容を事前確認したい場合にも便利です。

これにより、必要な情報に誤りがないか確認し、正確な証明書を取得できます。

pdfデータはあくまで情報確認や内部資料としての補助的な用途に限られるため、用途を明確に理解して利用しましょう。

履歴事項全部証明書のpdfデータが使えない場面

履歴事項全部証明書のpdfデータには証明書としての法的効力がないため、正式な手続きでは利用できません。

特に、原本の提出が求められる場面ではpdfデータでは代用できず、紙の証明書を準備する必要があります。

具体的には、銀行口座の開設や融資の申し込みでは、法人の実在証明として履歴事項全部証明書の原本を求められることが多いです。

pdfデータは参考資料としては活用できるものの、正式な証明書としては認められないため注意しましょう。

また、行政手続きや許認可の申請企業間の契約締結時にも原本が求められます。

さらに、裁判所への提出書類や、公的な証明として利用する場面でも、法務局が発行した紙の証明書が必要とされます。

履歴事項全部証明書のpdfデータは、あくまで情報確認のための資料として活用するものと認識し、正式な手続きでは紙の原本を取得してください。
履歴事項全部証明書 pdf

履歴事項全部証明書のpdfデータと紙の書類を比較してみた

履歴事項全部証明書のpdfデータと紙の書類には、それぞれ異なる特徴があります。

pdfデータは手軽に取得・閲覧できる点がメリットですが、正式な証明書としての効力がありません。

一方で、紙の書類は証明書としての法的効力があり、各種手続きで必要となるが、取得に手間と費用がかかります。

下記の表でpdfのデータと紙の書類の特徴をまとめました。

pdfデータ紙の書類
取得方法オンライン郵送・法務局・オンライン等
効力無し有り
利用可能な場面社内共有・情報確認融資・行政・契約手続き
取得費用無料有料
無くした場合のリスク無し有り

pdfデータは、登記事項を確認する目的で利用する場合に便利であり、社内の資料作成や企業調査などに活用できます。

用途に応じて適切な形式を選ぶようにしましょう。

履歴事項全部証明書のpdfデータをダウンロードする方法

履歴事項全部証明書のpdfデータは、法務局の「登記情報提供サービス」を利用することでオンラインで取得できます。

ダウンロード方法は、まず「登記情報提供サービス」の公式サイトにアクセスし、利用者登録を行います。

次に、ログイン後、法人の商号や本店所在地などの情報を入力し、履歴事項全部証明書のデータを検索しましょう。

表示された情報を確認し、pdfデータをダウンロードすることで、電子ファイルとして保存できます。

なお、このサービスを利用する場合は、利用料金・登録費用が発生するので注意してください。

利用料金や登録費用は、利用目的によって変わってきます。下記のサイトを参考に、どのくらい費用がかかるか確認しておきましょう。
法務省:登記情報提供サービスの利用料金等一覧

料金は法務局の窓口で取得する履歴事項全部証明書よりも安価ですが、あくまで情報閲覧用です。

正式な証明書が必要な場合は、紙の書類を取得する必要があるので、用途に応じて適切な方法を選択しましょう。
参考:登記情報提供サービス

履歴事項全部証明書が手続きで必要な場合は紙の書類を準備すべき

これまででお伝えした通り、履歴事項全部証明書のpdfデータは、手続き等に使用できないので、紙の書類を準備して提出する必要があります。

また企業間の契約においても、相手方が正式な証明書の提出を求めるケースが多いため、事前に紙の書類を取得しておくと、とても便利です。

紙の履歴事項全部証明書は、法務局窓口で直接申請する、郵送で取り寄せる、申請はオンラインで行い受け取り方を自分で選ぶ方法があります。

下記で取得方法を解説するので、必要なタイミングでスムーズに提出できるよう準備しておきましょう。

履歴事項全部証明書の取得方法

履歴事項全部証明書の取得方法について解説します。

  • 郵送で申請する場合
  • 法務局で直接申請する場合
  • オンラインで申請する場合

郵送で申請する場合

法務局に直接行けない場合は、郵送で申請する方法があります。

必要な書類を郵送し、後日、履歴事項全部証明書を受け取ります。

まず、法務局の公式サイトなどで「登記事項証明書交付申請書」をダウンロードし、必要事項を記入しましょう。

次に、申請手数料分の「収入印紙」を購入し、申請書に貼付します。収入印紙は郵便局や法務局の窓口で購入可能です。

申請書とともに、返信用封筒(切手を貼付し、宛先を記入したもの)を同封し、管轄の法務局に郵送します。

郵送での申請は、法務局が書類を受理してから証明書が届くまでに数日かかるため、余裕を持って申請することが大切です。

また、不備があると手続きが遅れるため、記入ミスや必要書類の不足に注意しましょう。
参考:会社・法人の登記事項証明書の郵送請求PDF

法務局で直接申請する場合

法務局の窓口に直接行くことで、その場で履歴事項全部証明書を取得できます。

急ぎで必要な場合や、記入内容に不安がある場合に便利な方法です。

申請の流れとしては、法務局で「登記事項証明書交付申請書」を記入し、窓口に提出します。

申請手数料は収入印紙で支払うため、必要な額の収入印紙を購入して貼付します。

問題がなければ、その場で証明書が交付されるため、即日取得が可能です。

ただし、平日の受付時間内(9時00分~17時00分)に法務局へ行く必要があります。

ちなみに、受付開始時間前の8時30分〜9時の間、17時〜17時15分の間においても、急ぎの場合は対応してもらえることがあります。

時間の確保が難しい場合は、郵送やオンライン申請を検討するとよいでしょう。

オンラインで申請する場合

オンライン申請は、法務局の「登記ねっと」を利用し、インターネット上で申請を行う方法です。

手続きをオンラインで完結できるため、窓口に行く手間を省けます。

まず、法務局のオンラインシステムにアクセスし、利用者登録を行いましょう。

次に、申請フォームに必要事項を入力し、申請手数料を電子納付します。

証明書の受け取り方法としては、指定した法務局の窓口で受け取るか、郵送で送付してもらうかを選択できます。

オンライン申請は、時間や場所を問わず手続きができる点が大きなメリットです。

ただし、電子納付の手続きが必要なため、事前に利用環境を整えておく必要があります。

また、郵送での受け取りを選択した場合は、書類が届くまでに時間がかかる点にも注意が必要です。

オンライン申請のやり方について詳しく解説しているコラムがあるので、オンライン申請を検討する際は参考にしてください。

履歴事項全部証明書のオンライン取得のやり方は?|10分で簡単申請

参考:登記ねっと
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書類を取得する手間を省きたい方におすすめの方法

履歴事項全部証明書をはじめとする、法人に関する書類を取得すること自体が面倒と感じる方もいると思います。

そんな方は、法人証明書請求がおすすめです。

法人証明書請求では、ログインや必要事項の記入、入力等を省くことで、より手軽に証明書の申請ができます。

弊社の提供しているRakulia法人証明書請求は、最短1分で法人証明書の申請が完了し、申請から2〜3営業日で手元に届きます。

受付時間も24時間対応しており、オンラインで申請できるので、いつでもどこでも申請が可能です。交通費や切手代などの手数料もかかりません。

しかし、1通あたりの費用は980円と法務局よりも少し高めです。

ですが、面倒な手続きや移動にかかる時間・費用などを削減できるので、とにかく手軽に証明書を請求したい方は非常におすすめです。
Rakulia法人証明書請求

履歴事項全部証明書とは?

履歴事項全部証明書とは、法人の設立から現在に至るまでの重要な情報がすべて記載された公的な書類です。

この証明書は、法務局が管理している法人登記の内容を証明するものであり、会社の信用性を確認するために利用されることが多いです。

特に、新規取引を開始する際には、相手方に対して自社の存在や経営状況を明示することで、信頼関係を築くきっかけとなるのです。

たとえば、新規取引先との契約時に、この書類を提出することで、会社の実在しているのか、代表者の正当性を証明できます。

また、融資を受ける際には、金融機関が審査の一環として会社の経営状況を確認するために必要となる場合があります。

このように、ビジネスにおいて信頼を得るための重要な書類であるため、企業活動には欠かせません。

履歴事項全部証明書は、法人の透明性を確保し、取引の安全性を高めるために重要な役割を果たしています。

履歴事項全部証明書について詳しくまとめたコラムも参考にしてください。

履歴事項全部証明書とは?取得方法や手数料について分かりやすく解説!

履歴事項全部証明書に記載されている内容

履歴事項全部証明書には、法人の基本情報から過去の変更履歴まで、企業の実態を詳細に把握できる情報が記載されています。

具体的には、会社名や本店所在地設立年月日資本金の額役員の氏名および役職事業目的株式の発行状況などが含まれます。

この証明書には、会社の基本情報だけでなく、過去の変更履歴も記録されているため、会社の経営状況や事業の推移を把握することができます。

商号の変更や本店所在地の移転代表取締役の交代資本金の増減などが記載されています。

これにより、過去にどのような経営判断が行われてきたのかがわかり、取引先や金融機関が信用調査を行う際に重要な判断材料となるのです。

たとえば、新規取引先と契約を結ぶ前に、相手企業の履歴事項全部証明書を確認することで、代表者の正当性や所在地の実在性を確認できます。

また、融資を申請する際には、金融機関が会社の財務状況や経営の安定性を確認するために必要な情報が含まれています。

特に、過去の役員変更や資本金の増減履歴などは、経営体制の変化や成長の過程を読み取るうえで重要なポイントです。

履歴事項全部証明書は、会社の基本情報だけでなく、経営状況の透明性を証明するための重要な書類です。

記載されている内容を正確に理解することで、ビジネス上のリスクを回避し、信頼性のある取引を行えます。
参考:法務省(登記事項証明書記載例PDF3ページ・4ページ)

履歴事項全部証明書に関する相談ができる場所は?

最後に、履歴事項全部証明書の申請から取得に関する相談ができる場所を4つご紹介します。

  1. 法務局
  2. 司法書士などの専門家
  3. 銀行や金融機関の法人窓口
  4. 法務局の公式サイト・コールセンター

1.法務局

履歴事項全部証明書の発行元である法務局では、申請手続きや取得方法に関する相談ができます。

各地の法務局には登記相談窓口があり、書類の記入方法や申請に必要な情報についてアドバイスを受けることが可能です。

公式サイトでは、最寄りの法務局の所在地や問い合わせ先が確認できるため、事前にチェックするとよいでしょう。
相談内容の例

  • 申請書の書き方が分からない
  • どの法務局で申請すればよいのか知りたい
  • オンライン申請の方法を詳しく知りたい

2.司法書士などの専門家

登記手続きに詳しい専門家として、司法書士がいます。

会社設立や登記の変更など、専門的な手続きが必要な場合は、司法書士に相談することでスムーズに進められます。

特に、会社の登記変更や役員変更の手続きが複雑な場合は、専門家のサポートを受けると確実です。
相談内容の例

  • 司法書士に申請を代行してもらいたい
  • 取引先に提出する書類の正確性を確認したい
  • 会社の登記変更に伴う証明書の取得について知りたい

3.銀行や金融機関の法人窓口

法人名義の口座開設や融資を受ける際、銀行や信用金庫で履歴事項全部証明書の提出を求められることがあります。

金融機関の法人窓口では、必要な書類や取得方法について具体的なアドバイスを受けられます。
相談内容の例

  • 法人口座開設時に求められる書類について知りたい
  • 金融機関での手続きで紙の証明書が必要か確認したい
  • 会社の信用力を証明するための登記情報の活用方法を知りたい

4.法務局の公式サイト・コールセンター

法務局の公式サイトでは、履歴事項全部証明書の取得方法や手続きの詳細が掲載されています。

また、法務局のコールセンターに問い合わせることで、直接担当者から案内を受けることも可能です。
相談内容の例

  • 必要な手数料や支払い方法を確認したい
  • オンライン申請の具体的な手順を知りたい
  • 郵送申請の際に必要な書類を教えてほしい

参考:法務局

監修者のワンポイントアドバイス

履歴事項全部証明書のpdfデータか法務局で取得した紙の書類のどちらが必要になるかは活用目的によって異なります。

行政などの公的な機関に提出する場合は紙の書類が必要な場合がほとんどです。会社内の部署間共有であればpdfデータでも問題ないでしょう。