福利厚生に使える補助金を公開!従業員満足度アップとコスト削減

福利厚生の充実に使える国や自治体の補助金制度を解説。 従業員満足度を高めながら、企業の負担を軽減する方法をわかりやすくご紹介します。
井上 雅也

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福利厚生 補助金

この記事を監修した専門家

監修専門家: 井上卓也行政書士

井上 卓也

代表・行政書士

補助金・助成金を専門とする行政書士として、補助金申請サポート実績300社以上を有する。

慶應義塾大学卒業後、大手製薬会社での経験を積んだ後、栃木県・兵庫県に行政書士事務所を開業。 『事業再構築補助金』、『ものづくり補助金』、『IT導入補助金』をはじめ、地方自治体を含む幅広いジャンルの補助金に精通。 リモートを中心に全国の事業者の補助金申請サポートを行っている。

福利厚生向け補助金を活用しよう

福利厚生の充実は、企業が従業員の満足度を高め優秀な人材を確保するために不可欠です。
その一環として、企業はさまざまな補助金制度を活用することができます。
特に「キャリアアップ助成金」は、非正規雇用から正社員への転換を支援する重要な制度です。
この助成金は、正社員化に伴う福利厚生制度の導入を促進し、企業の人材戦略に大きな影響を与えます。

キャリアアップ助成金(正社員化コース)

キャリアアップ助成金の正社員化コースは、非正規雇用労働者を正社員に転換する際に支給される助成金です。
この制度は、企業が非正規雇用から正社員への転換を行う際に経済的な負担を軽減することを目的としています。

支給額

キャリアアップ助成金の支給額は、企業の規模や条件によって異なります。
中小企業

  • 有期雇用非正規労働者を正社員:57万円
  • 無期雇用非正規労働者を正社員:28万5,000円
  • 有期雇用非正規労働者を正社員にし、生産性向上要件を満たす:72万円
  • 無期雇用非正規労働者を正社員にし、生産性向上要件を満たす:36万円

大企業

  • 有期雇用非正規労働者を正社員にした場合:42万7,500円
  • 無期雇用非正規労働者を正社員にした場合:21万3,750円
  • 有期雇用非正規労働者を正社員にし、生産性向上要件を満たす場合:54万円
  • 無期雇用非正規労働者を正社員にし、生産性向上要件を満たす場合:27万円

申請条件について

キャリアアップ助成金を受給するための主な条件は、以下の通りです。
雇用期間

対象となる労働者は、正社員化する前に通算して6カ月以上雇用されている必要があります。
これには、有期雇用労働者や派遣労働者が含まれます。

キャリアアップ計画を立てる

補助金を申請する前に、キャリアアップ計画を策定し、所轄の労働局に提出する必要があります。
この計画には、正社員化の具体的な手順や目標が含まれている必要があります。

賃金を増やす

正社員化後、6か月間の賃金が、正社員化前の賃金よりも3%以上増額されていることが求められます。
この賃金には、基本給や定額で支給される手当が含まれますが、歩合給など変動する手当は含まれません。

就業規則を整備する

正社員化に伴い、就業規則や労働協約に正社員転換制度を明記する必要があります。
これにより、転換の要件や手続きが明確になります。

申請期限を遵守する

補助金の申請は、正社員化後6か月分の賃金を支払った日の翌日から2か月以内に行う必要があります。
この期限を過ぎると、補助金を受け取ることができなくなります。

参考:厚生労働省(キャリアアップ助成金)

ほかにもまだある福利厚生に使える補助金制度

福利厚生に活用できる補助金は、キャリアアップ助成金以外にもいくつかあります。
福利厚生 補助金

両立支援助成金

仕事と家庭の両立を支援する企業に対して支給される助成金で、育児や介護に関する制度を導入する際に利用できます。
両立支援助成金の詳細は下記コラムで解説しています。

2025年、補助金・助成金14選【中小企業向け】

両立支援助成金PDF

人材開発支援助成金

従業員のスキルアップを目的とした研修や教育プログラムに対して支給される助成金です。
詳細は下記コラムで解説しています。

人材開発支援助成金をわかりやすく解説!いくらもらえる?

厚生労働省(人材開発支援助成金)公式サイト

人材確保等支援助成金

中小企業が人材を確保するための施策を実施する際に利用できる助成金です。
これらの補助金を活用することで、企業はコストを抑えつつ、充実した福利厚生を提供することが可能です。
詳しくは、下記コラムをご確認ください。

2024年最新版!個人事業主が使える国の助成金一覧

厚生労働省(人材確保等支援助成金)公式サイト

福利厚生が企業にとって大事な理由とは?

福利厚生が企業にとって重要な理由を解説します。

  • 採用力アップ
  • 人材定着の向上
  • 企業イメージの向上

採用力アップ

求職者は企業選びの際、福利厚生の充実度を重視する傾向があります。
特に新卒学生の調査によると、福利厚生は企業選択の重要な基準のひとつであり、魅力的な福利厚生を提供することで、優秀な人材を引き寄せることができます。

人材定着の向上

福利厚生が充実している企業は、従業員の献身性を高め、離職率を低下させる効果があります。
具体的には、健康管理や育児支援、フレックスタイム制度などが、従業員の働きやすさを向上させ、長期的な雇用を促進します。
従業員が「この会社で働き続けたい」と感じる環境を整えることが、企業の安定性と競争力を高める要因となります。

企業イメージの向上

福利厚生が充実している企業は、社会的責任を果たしているという印象を与えブランドイメージの向上につながります。
特に、健康管理や育児支援、柔軟な働き方をサポートする制度が整っていると、企業は従業員を大切にしているという姿勢を示すことができ、各ステークホルダーからの評価が向上します。

キャリアアップ助成金を申請するときの注意点

キャリアアップ助成金を申請する際には、いくつかの注意点があります。これらを理解し、適切に対処しましょう。

  • 賃金を適正に管理する
  • 不支給のリスクがある
  • 専門家を活用すると良い
  • 計画書の提出タイミングに注意

賃金を適正に管理する

賃金の増額が求められるため、正社員化後の賃金が適切に管理されているか確認する必要があります。
賃金が減額された場合、補助金がもらえない恐れがあります。

不支給のリスクがある

申請時に要件を満たしていても、後に不支給となるケースがあるため、注意が必要です。
たとえば、正社員化前後に退職があった場合や、労働関係法令に違反している場合などです。

専門家を活用すると良い

補助金の申請は複雑な手続きが多いため、社会保険労務士などの専門家に相談することをお勧めします。
専門家の支援を受けることで、申請の成功率を高めることができます。

計画書の提出タイミングに注意

キャリアアップ計画書は、正社員化を実施する前に提出する必要があります。
計画書の提出が遅れると、補助金の受給資格を失う可能性があります。

補助金を活用する際のポイント

福利厚生 補助金
福利厚生に関する補助金は、企業の負担を軽減しながら従業員満足度を高める有効な手段です。
しかし、補助金を有効に活用するためには、いくつかの重要なポイントを理解しておく必要があります。

補助対象となる「福利厚生」の定義を理解しよう

補助金が適用される福利厚生とは、単に社員に優遇を与える制度というだけでなく、法律や助成要項で定められた要件を満たす必要があります。
たとえば、次のような制度が補助対象となる場合があります。

  • 健康診断の実施、メンタルヘルス支援
  • 住宅手当や交通費補助(一定条件下で対象)
  • テレワーク環境の整備(椅子・机・回線費補助など)
  • 社員研修・資格取得支援(キャリアアップの一環とみなされる)

一方で、レクリエーション費用や娯楽性の高い施策は補助対象外となるケースが多いため注意が必要です。
補助金ごとに定義が異なるため、事前に公募要領や支給要件を必ず確認しましょう。

自社制度の整備・見直しが必要になるケースあり

補助金を申請するには、既存の福利厚生制度が整っていることが前提になることがあります。
また、申請後には、就業規則の改訂や社内規定の明文化が求められるケースもあります。
例)

  • テレワーク制度導入に際して、勤務時間や労働管理のルールを整備
  • 社員研修制度に補助を受ける場合、対象研修の選定や受講記録の保存が必要

そのため、単に「お金がもらえるから導入する」のではなく、長期的に機能する制度を整える姿勢が求められます。

専門家(社労士・行政書士)への相談も検討を

補助金の申請には、煩雑な書類作成や要件確認が必要になるため、専門家のサポートを受けることが成功への近道になります。
行政書士や社労士は、補助金申請書の作成・提出支援、制度の法的整備のアドバイスをおこなっています。
初めて補助金を活用する企業や、要件が複雑な補助金を検討している企業は、早い段階で相談することで、書類不備や手続きの遅れを防げるでしょう。

おわりに

福利厚生を充実させることは、企業の未来を支える重要な投資といえます。
国や自治体の補助金制度を上手に活用することで、コストを抑えながらも、従業員に喜ばれる施策を実現できます。
補助金を味方につけた福利厚生の強化は、従業員満足度の向上と企業の競争力強化を両立させる、これからの時代に不可欠な戦略といえるでしょう。

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人物

監修者からのワンポイントアドバイス

キャリアアップ助成金や両立支援助成金など福利厚生に活用できる助成金には様々なものがあります。 申請するための書類は煩雑で助成金ごとに必要な要件も異なってきます。自社の福利厚生の目的に沿った助成金を検討されると良いでしょう。