【金融機関別】融資審査に落ちる原因と対処法をまとめました

融資審査に落ちたとき、原因を把握していないと改善するのは難しいですよね。 融資審査に落ちる主な原因は、信用情報や事業内容関連が多いです。 今回は融資審査に落ちる原因とその対処法を解説します。
井上 雅也

公開日:

更新日:

【金融機関別】融資審査に落ちる原因と対処法をまとめました

この記事を監修した専門家

監修専門家: 井上卓也行政書士

井上 卓也

代表・行政書士

補助金・助成金を専門とする行政書士として、補助金申請サポート実績300社以上を有する。

慶應義塾大学卒業後、大手製薬会社での経験を積んだ後、栃木県・兵庫県に行政書士事務所を開業。 『事業再構築補助金』、『ものづくり補助金』、『IT導入補助金』をはじめ、地方自治体を含む幅広いジャンルの補助金に精通。 リモートを中心に全国の事業者の補助金申請サポートを行っている。

融資審査に落ちる原因は?

融資審査に落ちる原因は、虚偽の申告や信用情報の問題など、さまざまな原因があります。下記で主な5つの原因をまとめました。
融資審査に落ちる原因

  • 金融機関側の問題
  • 自己資金が足りない
  • 信用情報に問題がある
  • 事業内容に問題がある
  • 事業計画書の内容が不十分

金融機関側の問題

融資審査に落ちる原因の1つ目は、金融機関側の問題です。金融機関の状況次第で、審査が受けられない場合もあります。

具体的に以下のケースが考えられます。

  1. 景気が悪いとき
  2. 審査担当者の裁量
  3. 金融機関の経営が苦しいとき
  4. 新規顧客よりも既存顧客を優先する方針の場合

これらのケースに当てはまっていた場合、仮に事業計画や信用情報が良くても、融資審査に落ちてしまうことがあります。

これらに該当する場合は、別の方法で資金調達をするようにしましょう。

自己資金が足りない

原因の2つ目は、自己資金が不足していることです。金融機関は、事業者が自己資金をどれだけ確保しているかを重視します。

自己資金が少ないと返済の余力がないと見なされ、金融機関は事業者のリスクが高いと判断し、融資を断ることが多いです。

また、一時的にお金を借りてきて実際の自己資金よりも大きく見せ、融資審査に通ったらそのお金を返却する「見せ金」という手法があります。

見せ金を使っても、ほとんどの融資審査に落ちてしまいます。金融機関を騙す行為なので、絶対にやめましょう。

さらに審査に落ちるだけでなく、見せ金をした記録も残るため、次回以降の融資審査も圧倒的に不利になってしまいます。

したがって、自己資金を十分に確保することは、融資審査に通るための重要な要素です。

信用情報に問題がある

3つ目は信用情報に問題があるケースです。信用情報は、金融機関が重要視する項目の一つです。

ローンやクレジットの返済、公共料金や携帯料金、税金などの支払いが滞納していないか、よく確認するようにしましょう。

また、スマートフォンを分割で購入した場合において、支払いを滞納すると、信用情報に影響が出てしまいます。

スマートフォンを分割で購入すること自体は問題ありませんが、分割払いで購入すると、その時点で個人信用情報として登録されます。

携帯料金同様、分割の支払いが遅れてしまうと信用情報に傷が付くおそれがあるのです。

このように信用情報はとても細かな情報も入ってしまうため、支払い遅れがないか、滞納している料金はないかを入念に確認するようにしてください。

事業内容に問題がある

4つ目は事業内容に問題がある場合です。主に金融機関は、事業の成長性や安定性を評価します。

リスクの高いビジネスや、需要が不確実な市場に進出している場合、融資が却下される可能性が高くなります。

また、ビジネスモデルが不明瞭であったり、収益の見込みが薄いと判断された場合も同様です。

過去に失敗している業界に再挑戦する事業計画を提出した場合、金融機関がリスクを感じて融資を見送るケースがあります。

事業内容の安定性や成長性を示すことが、融資審査に通過するために不可欠です。

事業計画書の内容が不十分

5つ目は事業計画書の内容が不十分であることです。融資審査において、事業計画書の内容が不十分だと、融資審査に落ちてしまう大きな要因となります。

事業計画書は、金融機関に対して事業の将来性や返済能力を示す重要な書類です。

計画書の内容が曖昧であったり、現実的でない目標が記載されている場合、金融機関は融資に消極的になるのです。

また、具体的な戦略や財務計画が欠けていると、信用を得ることは難しくなります。

売上予測が根拠のない数値だったり、コスト管理が適切に行われていない事業計画書は、融資審査で否決されることがよくあります。

しっかりとした事業計画書を作成し、金融機関に説得力を持って提示することが、融資審査の通過には重要です。

融資審査に落ちた場合の基本的な対処法

融資審査に落ちた場合の基本的な対処法は以下のとおりです。

  • 専門家に相談する
  • 事業計画書を見直す
  • 支援機関を利用する

専門家に相談する

基本的な対処法の1つ目は、専門家に相談する方法です。

専門家は、融資審査における問題点や改善すべき箇所を指摘してくれるため、次回の申請時に成功する可能性が高まります。

特に、金融の知識や経験を持つコンサルタント公認会計士に相談することで、事業の課題を客観的に把握し、適切な改善策を立てることができます。

ある事業者が融資審査に落ちた後、金融専門家に相談し、自己資金や財務状況を改善した結果、再申請で融資が承認されたケースもあるのです。

したがって、融資審査に落ちた場合は、専門家の助言を受けることが次の成功につながります。

事業計画書を見直す

2つ目は事業計画書を見直すことです。

事業計画書が不十分であることが、審査に落ちる原因であることが多いため、計画書の内容を再度精査し、具体性と現実性を持たせることが必要です。

特に、売上予測やコスト管理の面で信頼性を高めることが、次の融資申請における成功率を高めます。

例としては、融資が否決された企業が、計画書に具体的な経営戦略や現実的な売上予測を追加し、再申請で成功したケースがあります。

事業計画書の質を高め、信頼性を向上させることが、次回の融資申請での成功に直結するのです。

事業計画書の重要性を詳しく解説していますので、参考にしてください。

【2024年必見!】融資審査の成功法と審査が通らない原因とは?

支援機関を利用する

3つ目は支援機関を利用することです。融資審査に落ちた場合、支援機関を活用するのも有効な対処法です。

多くの支援機関は、事業者に対して融資に関するサポートやアドバイスを提供しており、審査の改善点を把握する手助けをしてくれます。

また、特定の業界や地域に特化した支援プログラムを提供している場合もあるため、自身の事業に合った支援を受けられます。

地域の中小企業支援機関が、融資審査に落ちた事業者に対して専門的なアドバイスを行い、再申請で融資を獲得するまでサポートを提供した事例もあるのです。

支援機関を活用することで、次回の融資審査を突破できるでしょう。
参考:認定支援機関
融資審査に落ちた場合の対処法

金融機関別:融資審査に落ちたときの対処法

ここでは、金融機関別で融資審査に落ちたときの対処法を解説します。

  • 銀行融資
  • マル経融資
  • 信用保証協会
  • ビジネスローン
  • 日本政策金融公庫

銀行融資

1つ目は銀行融資の場合です。銀行融資に落ちてしまったら、銀行の信用格付けを上げるように努めましょう。

信用格付けとは、その人の信用力や返済能力などを考慮した上でランク付けされるものであり、融資を受ける際にとても大きな割合を占めます。

この格付けは、主に経営の方針や事業運営の姿勢などの部分で決定されるため、改めて事業内容の見直しを検討するのがおすすめです。

また、銀行融資は資金使途を明確にしておくと審査に通りやすいといいます。

どのような事業を行なっていて、どのような目的で融資を利用したいか、などの項目を事前に考えておくと、金融機関側も評価がしやすくなります。

マル経融資

2つ目はマル経融資の場合です。マル経融資の場合は、まず経営指導員のアドバイスに素直に従いましょう。

これは事業の改善はもちろんのこと、他にも相手からの印象を良くする意味も含まれます。

マル経融資は推薦をもらうことで融資資格を得るので、経営指導の方や審査員などの関係者の印象というのは非常に重要です。

アドバイスには素直に従い、分からないことやもっと聞きたいことなどは積極的に聞くようにして、コミュニケーションをとりましょう。

マル経融資について解説しているコラムがあるのでこちらをご覧ください。

マル経融資ってどんな制度?必要な書類や申請方法を詳しく解説

信用保証協会

3つ目は信用保証協会の場合です。信用保証協会の保証付き融資に落ちてしまった場合は、保証資格を満たしているかを確認しましょう。

保証の対象者であることや、事業の規模、申請場所が自分のところを管轄しているのかなど、意外に条件は多いものです。

最寄りの信用保証協会に問い合わせをして、確認するようにしてください。

そして、信用保証協会の申請経験が豊富な専門家に相談することも非常に有効な手段です。

自分では分からないところも、専門家の知識や経験を借りれば、一発で解消することもあります。

まずは自分で事業計画書を改善してみて、心配なところや不安なところを専門家に見てもらいましょう。

信用保証協会についてのコラムも参考にしてください。

【知らないと損する】融資保証協会の仕組み・便利な制度をご紹介!

ビジネスローン

4つ目はビジネスローンの場合です。ビジネスローンの融資審査を受けて落ちてしまった場合は、別のビジネスローンの融資を受けてみましょう。

以前受けたところでは落ちた場合でも、次に受けたところでは審査に受かる可能性は十分あります。

また、個人名義のカードを利用して資金調達する方法もあります。一時的な資金調達をしている場合には、とても効果的です。

日本政策金融公庫

5つ目は日本政策金融公庫の場合です。日本政策金融公庫は、一度融資審査を受けてしまうと再度審査を受けるまでに、最低でも半年の期間を空けなけばなりません。

その間に審査に通過するための改善をしておきましょう。問題点の改善第三者から客観的な意見をもらう方法があります。

問題点を全て出して、それを改善した上で再度審査を受けられると、融資審査の通過率は格段に上がります。

また、別の方法として制度融資や信用保証付きの融資を検討するのも良いでしょう。

日本政策金融公庫に落ちてしまって、半年間のうちに別の融資制度を受けて審査に受かることができれば、より早い事業拡大が可能です。

事業の規模によって審査の通過率は変わるのか

個人事業と法人では、審査の通過率は変わってくるのでしょうか?

結論から言うと、事業規模によって審査率が変わることはありません。これを踏まえると、事業計画や信用情報が重要であることがわかります。

事業内容は一貫性があり実現可能かどうか、信用情報は問題ないかなど、この大きく2つの項目をどれだけよくできるかが鍵となります。

日本政策金融公庫の融資審査の通過率は?

日本政策金融公庫における、融資審査の通過率は、およそ50%〜60%であると言われています。

アコムやアイフルなどの消費者金融の融資審査は30%〜40%なので、比較的高い確率です。

この融資審査の通過率を上げるためには、どのような審査基準なのかを把握することが何よりも重要です。

審査基準を把握した上で、事業計画書や信用情報事業内容をより具体的にして融資審査を受け、融資が受かるように工夫をしましょう。

より詳細な審査基準や内容については、日本政策金融公庫のプライバシーポリシーをご覧ください。
参考:日本政策金融公庫(プライバシーポリシー)
参考:日本政策金融公庫(プライバシーポリシー pdf)

融資以外で資金調達をする4つの方法

融資以外での資金調達を考えている方は、下記の資金調達法を参考にしてください。

  • 補助金や助成金
  • ベンチャーキャピタル
  • クラウドファンディング
  • エンジェル投資家による支援

補助金や助成金

融資以外の資金調達法の1つ目は、補助金や助成金です。

これらは返済の必要がなく、特定の事業やプロジェクトを推進するために国や地方自治体、その他の団体から提供されます。

条件を満たせば事業拡大に大きく貢献しますが、手続きがやや複雑であったり、条件に合った補助金を探すのが少し手間になったりするのが特徴です。

たとえば中小企業が新技術の開発や地域振興に取り組む場合、政府が提供する助成金を活用し、資金不足を補うことができます。

これにより、経済的な負担を軽減しつつ、事業を推進することが可能です。

補助金や助成金は、返済不要な資金調達手段として事業拡大に役立ちます。

ベンチャーキャピタル

2つ目はベンチャーキャピタルです。

ベンチャーキャピタルは、主にスタートアップや成長中の企業に対して投資を行い、企業の株式や経営権の一部を取得することで、リターンを得る仕組みです。

これにより、成長フェーズにある企業は多額の資金を調達することができます。

具体的には、成功を収めた多くのスタートアップ企業は、初期段階でベンチャーキャピタルから資金を調達しています。

その資金をもとに事業拡大を行い、市場に参入していきました。

このことから、ベンチャーキャピタルは成長志向の強い企業にとって、重要な資金調達手段です。

クラウドファンディング

3つ目はクラウドファンディングです。クラウドファンディングは、一般の人々から少額の資金を集める資金調達方法です。

プラットフォームを通じて事業やプロジェクトを紹介し、多くの支援者から資金を集めることで、通常の融資とは異なる形で資金を調達できます。

そして事前に顧客や支援者の関心を引きつけることができると、プロジェクト開始前に資金を得ることができます。

クラウドファンディングを利用し、初期投資を大幅に軽減しつつ、支援者からのフィードバックも得られたことで、事業が軌道に乗った事例もあるのです。

クラウドファンディングは、広く支援者を集めて資金を調達する手段として有効です。

エンジェル投資家による支援

4つ目はエンジェル投資家からの支援です。エンジェル投資家からの支援は、融資以外の資金調達方法として非常に有効です。

エンジェル投資家は、主にスタートアップや初期段階の企業に対して個人的に投資を行います。

これにより、起業家は株式の一部を譲渡する代わりに、返済義務のない資金を調達でき、事業成長のための資金を確保できます。

近年では、多くのスタートアップがエンジェル投資家からの初期投資を受け、その資金をもとに製品開発や市場投入を進めているのです。

また、エンジェル投資家は資金提供だけでなく、起業家へのメンタリングやビジネスノウハウの提供も行い、事業の成功確率を高める役割も担っています。

エンジェル投資家の支援は、資金だけでなく事業成功に向けた幅広いサポートを得るための重要な手段です。
融資以外の資金調達法

【まとめ】融資審査に落ちても諦めず資金調達にチャレンジしよう!

今回は融資審査に落ちる原因と、その対処法について、金融機関別に分けて解説しました。

融資審査に落ちてしまう原因として、事業計画や信用情報などに問題があるケースが多いですが、場合によっては金融機関側に問題がある場合もあります。

事業の規模によって融資審査の通過率は変わらないため、個人事業主でもしっかりと事業計画書を作成し、資金使途や事業内容をアピールできれば問題ないです。

融資以外にも豊富な資金調達の選択肢があります。今回の記事を通じて、さまざまな選択肢の中から自分に合った資金調達法を試してみてください。

融資審査に落ちた場合は補助金・助成金の活用を!

融資審査に落ちてしまった場合は、ぜひ一度補助金や助成金の活用を検討しましょう!

補助金や助成金には、IT関連の補助金や小規模事業者を対象とした助成金など、さまざまな種類があります。

しかも、補助金や助成金は原則返済不要なので、支払いの負担がありません。

「申請してみたいけどイマイチよくわからない・・・」という方は、下記のリンクから相談してみてください!